かえるのほんや
- 作:
- やぎ たみこ
- 出版社:
- PHP研究所
絵本紹介
2022.11.29
みどころ
その本屋があるのは、町のはずれの古い本屋の裏庭とつながっている森の、池のほとりのやなぎの木の根元。葉っぱにかくされた入り口を入っていくと、そこにいるのは……たくさんのかえるたち! そう、そこは「かえるのほんや」なのです。
「かえるが本を読むの?」
いえいえ、そんなことで驚いている場合じゃありません。だって、この本屋で人気のある絵本は、みんなこのお店でつくっているんです。紙、絵の具、のりだって手作り。さらにお話だってここにいる作家たちが考えているのです。でも、今日はおはなしづくりが行き詰まっている様子。そんな時は草のハンモックで昼寝が一番。ところが……?
「ぼくたちって ほんとに すごい かえるじゃない?」
本当に、本当にそう思いますよ。かえるたちが最初から最後までずっと大活躍する様子は、何度読んでも飽きることがありません。かえるたちへの深い愛情を感じる作者やぎたみこさんの絵も素晴らしく、子どもたちはきっとかえるが好きになってしまうでしょう。
「ほんやが あって よかったな。」
深く深くうなずきながら、そっと絵本をとじるのです。
この書籍を作った人
兵庫県生まれ。武蔵野美術短期大学卒。イラストレーターのかたわら絵本を学び、第27回講談社絵本新人賞佳作を受賞。「大人もいっしょに楽しめる、子どものための絵本」の制作をつづけている。絵本の作品に『くうたん』(講談社)、『もぐてんさん』(岩崎書店)がある。夫・娘・息子・亀・犬とともに千葉県松戸市在住。
かえるのおはなし会ではどんな本を読むのかな
かえるが苦手という子どもも多いだろうが、その一方でキャラクターとしてのかえるは人気者だ。
おじいちゃんおばあちゃん世代にも人気のあったコルゲンのケロちゃんなんかは、今でも子どもたちに人気があったりする。大きな目、大きな口、あたりがかわいいのかもしれない。
そんなかえるの世界に本屋があったらどうだろう。
やぎたみこさんの『かえるのほんや』は、子どもたちが大好きなかえるたちを主人公にして、その活躍の舞台を本屋さんに設定した、子どものおはなし会にぴったりの絵本に仕上がっています。何しろ、かえるの子どものおたまじゃくし向けに、おはなし会なんかしたりしているのですから。
おはなし会ではどんな本を読んでいるかというと、小さい子向けと足がはえてきた少し大きな子向けの本を変えていたりして、人間の世界顔負けの、気配りをしている。
かえるたちの本はどうして作っているのだろう。ほんやの奥が出版社みたいになっていて、かえるの本ができるまでのいろんな工程を知ることができる。そこでは作家のかえるとか絵描きのかえるとか集まって、新しい本づくりの会議をしたりしている。
アイデアが浮かばないかえるたちの前に、白い犬が迷い込んできて、さて、どうなる?
やぎさんのやさしい色づかいと、楽しいアイデア満載のこの絵本の巻末には「かえる文字」の一覧まで付いています。あなたなら何文字読めるだろうか。
(夏の雨さん)
楽しくて豊かなひとときを
いいなあ。いいなあ。かえるのほんやさん。なんて素敵な本屋さんでしょう。みんなで一から絵本を作ったり、みんなの冒険を物語にしたり、いっしょにお話会を楽しんだり…。みんなとっても楽しそう! 幸せそう! 本棚に並んだ本の題名もおもしろくて、かえる語まで学べちゃう、隅々まで楽しい絵本で、ワクワクしました!
かえるの世界でも、豊かで平和なひとときが、本とともにあるということが、なんだかとってもうれしくて。
あるんですね。きっと。
森の奥のそのまた奥には、いろいろな動物のほんやさんが、海の底のそのまた底には、いろいろな魚のほんやさんが、空の上のそのまた上には、いろいろな鳥のほんやさんが…。だって、やっぱり、どこでもどんな時代でも、本があるってすばらしい!んですもの。
地球上いろんなところに、かえるのほんやさんみたいな素敵な本屋さんができたらいいな。そうすれば、世界中、豊かで平和になるだろうな…。そんなことを願いつつ、まずは、目の前の子どもたちと、かえるのほんやさんを楽しみたいです!
(あさみーこさん)
ブランニュープラチナブックとは……?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
「ブランニュープラチナブック」は、2000万人の絵本ナビ読者の評価と販売実績を得て、新しく「プラチナブック」に仲間入りした注目の人気作品。作品を推す読者のコメントを読むと、選ばれた理由がわかります。