じいちゃん あそぼ! とんとんとんとん ひげじいさん
- 作:
- とよた かずひこ
- 出版社:
- 世界文化社
絵本紹介
2025.05.14
心地よい風にそよぐ、あざやかな若葉。真っ青な空には飛行機雲が一筋。新緑の季節、大地に寝転がって子どもと見上げる景色は、時間を忘れてしまうくらい穏やかで清々しいものです。そんなシチュエーションでの読み聞かせタイムは、また格別!ピクニックにお散歩に、絵本を持って出かけてみませんか。
思わず吹き出してプーッ! ココソコソ話にクスクス! ホットケーキを頬張ってにっこり!いろんな「笑う」があることに笑顔になっちゃう『わらう』。ゾウのおなかについている4つのボタンをはずしてみると中から動物が?!『ぞうのボタン─字のない絵本─』は次の展開を想像しながらページをめくる楽しみが。『ライオンのあしたのいちにち』は遥か彼方サバンナに暮らすライオン親子の一日を描いたあべ弘士さんの人気シリーズ。外で読むと、雄大な自然にさらなる臨場感を感じます。
時間に追われて忙しい家の中にくらべ、外ではのんびり、おおらかに子どもに向き合えますよね。この季節限定の絵本タイム、ぜひ親子で味わってみてください。
この書籍を作った人
1947年宮城県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。主な絵本に『でんしゃにのって』などの「うららちゃんののりものえほん」シリーズ、『バルボンさんのおでかけ』などの「ワニのバルボン」シリーズ、『ブップーバス』などの「あかちゃんのりものえほん」シリーズ(以上アリス館)、『やまのおふろ』などの「ぽかぽかおふろ」シリーズ(ひさかたチャイルド)、『どんどこ ももんちゃん』[第7回日本絵本賞]などの「ももんちゃん あそぼう」シリーズ、『おにぎりくんがね‥』などの「おいしいともだち」シリーズ(以上童心社)がある。紙芝居に『でんしゃがくるよ』『もみもみおいしゃさん』『ぞうさんきかんしゃ ぽっぽっぽっ』[第56回高橋五山賞](以上童心社)などがある。
この書籍を作った人
1939年、東京に生まれる。東京芸術大学工芸科卒業。学生時代からリトグラフ、エッチングを手がけ、日本版画家協会展新人賞、同奨励賞受賞。絵本の読者である幼い子どもたちの絵を見る目、絵を描く力の確かさに敬意を払い、尊敬を込めて絵本を描き続けている。代表作『わたしのワンピース』は、親子二代にわたるファンも多く、男女を問わず子どもたちに愛されている。『ちいさなきいろいかさ』(もりひさし文/金の星社)で第18回産経児童出版文化賞受賞。『えのすきなねこさん』(童心社)で、第18回講談社出版文化賞絵本賞受賞。その他作品多数。
この書籍を作った人
1973年、絵本『Elephant Buttons』(邦題『ぞうのボタン』)をアメリカで出版。 以来、数々の絵本を発表。シュールな味わいをもつ独特の作品世界が数多くの読者を魅了してきた。主な作品に、『ねずみくんのチョッキ』(講談社出版文化賞 受賞)をはじめとする「ねずみくん」シリーズ、『いたずらララちゃん』(絵本 にっぽん賞)、『こころのえほん』(共にポプラ社)、『ことりとねこのものが たり』(金の星社)ほかがある。
みどころ
最初にネズミを「ちょこり!」と置いて、次にウサギを「ぴょこん!」と置きます。
そして、次はアライグマ。「ぽこん!」
コアラは「もそっ!」、パンダは「ぽふっ!」、オットセイは「ぬるん!」
なんともユニークなオノマトペが並んで、思わず、
「ちょこり!」
連続して声に出したくなっちゃいます。
でも、この絵本、オノマトペが楽しいだけじゃないんです。
ゾウまで「どっしん!」と並べたら、とっても楽しい「遊び」が待っているんです。
その遊びはもちろん……。
『ぐるぐるカレー』や『ぐるぐるジュース』(アリス館)など、
思わず参加したくなるようなユニークな絵本を生み出す矢野アケミさん。
今回の作品もその遊びをしていて思いついたのだそうです。
あなたはどんな動物を並べたいですか?
この書籍を作った人
1973年、愛知県生まれ。幼稚園の頃の夢は、絵本をつくって売る人。子どもの本専門店「メリーゴーランド」(三重県四日市市)主宰の絵本塾に参加。『どうぶつドドド』(鈴木出版)で第22回日本絵本賞読者賞を受賞。その他作品に『ジェリーのあーな あーな』『ジェリーのながーい ながーい』『ジェリーのこーろ ころん』『バナナおいしくなーれ』『みかんおいしくなーれ』(大日本図書)、『ぐるぐるカレー』『ぐるぐるせんたく』『ぐるぐるジュース』『ぺったんこぺったんこ』(アリス館)、『わっかが8ぽんスポン!』(PHP研究所)、『ギョギョギョつり』(鈴木出版)、『ばんそうこう くださいな』(WAVE出版)などがある。
みどころ
「おれ、おとうさん」
画面の向こうから、少し憂いのある表情でじっとこちらを見つめてくるのは、どうやらおとうさんねこ。肩から下げているのは、真っ赤なおんぶひも。
「おれのこ、おんぶじゃないと なくねん」
ということで、掃除をしている時も、スーパーのちらしを見る時も、お絵描きをしたり、お買いものに行く時だって、ずっとおんぶ。料理をする時も、食べる時も。こりゃ、大変だ。さすがにお風呂に入るときくらいは……と思ったけど、やっぱり!?
泣きたくなるようなワンオペ子育て苦労あるあるも、ゆるい関西弁でつぶやきながら、なんとかこなしていくおとうさんねこの様子を見ていると、なぜだか笑いがこみあげてきます。必死になっている姿って、可笑しくって愛おしいものなのです。こねこの泣きっぷりもお見事。けれど、永遠に続くと思われていたそんな日々も、気づかないうちに……。
第43回講談社絵本新人賞佳作作品から誕生した殿本祐子さんの記念すべき絵本デビュー作は、インパクト抜群の「おんぶ絵本」!? 濃厚に描き出された、こねことおとうさんのめくるめくおんぶの日々をご堪能ください。
この書籍を作った人
第43回(2022)講談社絵本新人賞佳作『おんぶにゃにゃいとにゃく』を改稿した『おんぶねこ』でデビュー。保護猫といっしょに兵庫県で暮らしている。
出版社からの内容紹介
ライオンとうさんは、今日も子どもたちと散歩に出かけます。遠くから並んで走ってくるダチョウ、首が長くて不思議な姿のジェレヌク。子どもたちはその出会いを大いに楽しみ、ライオンとうさんは温かく見守ります。
おっと、一句浮かびました。
こどもらと そよかぜまくらに ひるねかな
うん、なかなか。
ライオンとうさんは、俳句をよむのが大好きなのです。
どんどん行くと、一本道がずーっとつづいて空にきえていきます。
「あっちだっ!」と、みんなあっちにむかって走ります。
「わ――っ、すごい!」
「とうさん、空と 大地が 手を つないでる」
すると、空の遠くでカミナリが。
「きた―っ」「雨だーっ」「にげろーっ」「はしれーっ」
雨雲が左右から押し寄せる中、雨のトンネルの先に父子が見たものとは――?
人気のライオンシリーズ、待望の新刊。
この書籍を作った人
1948年北海道旭川市に生まれる。 1972年から25年間旭山動物園の飼育係として、ゾウ、ライオン、フクロウなどさまざまな動物を担当する。 1996年旭山動物園を退職し、創作活動に専念する。 2009年北海道旭川市美術館にて「あべ弘士動物交響楽」展を開催。 その後、全国で作品展開催。 『あらしのよるに』(きむらゆういち文・講談社)『どうぶつえんガイド』(福音館書店)『ハリネズミのプルプル』(二宮由紀子文・文溪堂)『宮沢賢治「旭川。」より』(BL出版)『クマと少年』(ブロンズ新社)『ちび竜』(工藤直子文・童心社)『えほんなぞなぞうた』(谷川俊太郎文・童話屋)など著書は200冊以上。講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版賞JR賞、赤い鳥さし絵賞、産経児童出版文化賞美術賞、北海道ゆかりの絵本大賞、日本児童ペンクラブ児童ペン賞絵本賞を受賞など受賞多数。 2011年からNPO法人かわうそ倶楽部を設立、旭川市(7条通8丁目)にてギャラリープルプルを運営する。 2019年、絵本作家30周年記念として「あべ弘士の絵本と美術 ―動物たちの魂の鼓動―」(ふくやま美術館:広島)開催。カムチャッカ半島から千島列島を旅し、長年の夢であったウシシル島を訪れる。カナダノースウッズを訪れ、30sの荷物と20sのカヌーを担ぎながら湖を巡る。旭川市在住。
みどころ
小さな島の桟橋で、見送りの人と一緒に船の着くのを待っているのは、トランクを持った男の子。一人で町へ働きに出るのです。お母さんが涙ぐみながら言います。
「富吉がこんなに大きくなって。
お父にひとこと知らせてあげることができたらねぇ」
海の中でくらげのパポちゃんがその様子を見ていると、ヤドカリくんがお父さんの甚吉さんは戦争に行ったまま帰ってこなかったのだと教えてくれます。南の戦場へゆく途中、大ぜいの兵隊たちと乗った船が沈められ、そのまま死んでしまったのです。今も海に沈んだまま、そこにいるのでしょうか。
パポちゃんは、男の子が立派に大きくなったことを伝えるために、ひろいひろい海を波にもまれ、風にゆられながら、南をめざして泳いで探しに行くことにしました。そこで最初に出会ったのは……。
戦争に対する強い想いがありながら、なかなか作品をつくることができなかったというかこさんが、1950年〜55年に制作していたのがこのお話。2023年に見つかったこの幻の遺稿『くらげのパポちゃん』には絵がありませんでした。そしてかこさんの孫である中島加名さんが絵を描き、終戦後80年を迎える2025年、ついに絵本として完成したのです。
初めての大海原でさまざまな海の生き物たちと出会いながら、懸命に行方知れずになっている少年の父親を捜す旅をするパポちゃん。愛らしく、時にはユーモラスに描き出されたその様子に夢中になっていると、やがて甚吉さんに出会う大切なシーンがやってきます。その景色にドキリとしながらも、不思議な安堵感と優しい気持ちに包まれるのは、読んでいる子どもたちにも「二度と戦争を起こしてはならない」というかこさんの意思がしっかりと伝わっているからなのでしょう。
世界では今もまだ続く戦争。この絵本に触れることで、多くの子どもたちが平和への想いを強く持ってくれることを願うばかりです。
この書籍を作った人
加古里子1926(大正15)年福井県武生町(現・越前市)生まれ。1948年東京大学工学部卒業。工学博士。技術士。民間化学会社研究所に勤務しながら、セツルメント活動、児童文化活動に従事。1959年から出版活動にかかわり、1973年に勤務先を退社後、作家活動とともに、テレビニュースキャスター、東京大学、横浜国立大学などで児童文化、行動論の講師をつとめた。また、パキスタン、ラオス、ベトナム、オマーン、中国などで識字活動、障がい児教育、科学教育の実践指導などを行い、アメリカ、カナダ、台湾の現地補習校、幼稚園、日本人会で幼児教育、児童指導について講演実践を行った。『だるまちゃんとてんぐちゃん』『かわ』(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)、『富士山大ばくはつ』(小峰書店)など、500冊以上の児童書の他、『伝承遊び考』(全4巻・小峰書店)など著書多数。土木学会著作賞、日本科学読物賞、児童福祉文化特別賞、菊池寛賞、日本化学会特別功労賞、神奈川文化賞、川崎市文化賞、日本児童文学学会特別賞、日本保育学会文献賞、越前市文化功労賞、東燃ゼネラル児童文化賞などを受賞。
この書籍を作った人
1994年、神奈川県藤沢市に生まれる。国際基督教大学教養学部卒、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退(文学修士)。北海道西興部村在住。野外イベント「ニシニカリシテ」主催。書籍『愛蔵版ニシニカリシテ』および音楽CD 『爆縮盤ニシニカリシテ』を制作。
この書籍を作った人
作家。1935年札幌生まれ。東京都立高等保母学院卒業後、「みどり保育園」の主任保母になる。72年まで17年間勤めた。62年に出版した『いやいやえん』で厚生大臣賞、NHK児童文学奨励賞、サンケイ児童出版文化賞、野間児童文芸賞推奨作品賞を受賞。翌年『ぐりとぐら』刊行。『子犬のロクがやってきた』で毎日出版文化賞受賞。主な著書に絵本『ぐりとぐら』シリーズ、『そらいろのたね』『ももいろのきりん』、童話『かえるのエルタ』、エッセイ『絵本と私』『本・子ども・絵本』。映画「となりのトトロ」の楽曲「さんぽ」の作詞でも知られる。2013年菊池寛賞受賞。『ぐりとぐら』は現在まで10カ国語に翻訳されている。
この書籍を作った人
1941年東京生まれ。上智大学フランス語科卒業。旧姓大村百合子。高校三年の時より童話の挿絵や絵本の仕事を多くてがけ、明るく楽しい絵で子どもたちの心を魅了している。主な作品に、実姉中川李枝子氏とのコンビで「いやいやえん」「かえるのエルタ」「おひさまはらっぱ」「ぐりとぐら」シリーズ、「なぞなぞえほん」「くまさん くまさん」、自作絵本に「そらをとんだけいこのあやとり」「やまわきゆりこのあかちゃん日記」「やまわきゆりこのデイブック」などがある。
文/竹原雅子
編集/木村春子