はるか むかしに いた こども
- 訳:
- 中野 怜奈
- 出版社:
- 光村教育図書
絵本紹介
2026.04.08
はるか昔、旧石器時代の大自然の中。ひとり子どもがたどりついた川の向こう岸にいたのは?毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『はるか むかしに いた こども』。ネアンデルタール人の少年の一日を想像力豊かに描いたというこの絵本。いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
全身を使って、新しい世界を感じ、発見をしていく様子は子どもの姿そのもの。
目、鼻、口……自分と同じようで、なにかが違う誰か。
じっと見つめあった後、むこうの子どもは手をあげて去っていく。
この絵本に登場するのは、今から数万年前に絶滅したネアンデルタール人と、私たち人類の祖先ホモ・サピエンス。物語の中で、静かだけれど劇的な出会いをする少年二人。その瞬間の驚きはどのようなものだったのでしょう。想像を巡らせることも難しいほどの時間を隔てながら、子どもが過ごした一日の感動や喜びが生き生きとダイレクトに伝わってくるから不思議です。
夜、この日の出来事を思い出しながら、ふと灰のついた手をほら穴の壁にペタッと押しつける少年。たとえ彼らがどのような生活をし、どのような文化を持っていたかどうかわからなくても、その手形が今を生きる私たちの心にも何か刻んでくれるようです。
少年の視点を通して世界を見ると
絵本を手にして、まず惹かれてしまうのは、まっすぐこちらを見つめる子どもの強い眼差し。そして、実際に旧石器時代の洞窟壁画として残されていたという手形の謎を、美しい風景や感情の揺らぎが伝わってくる絵を味わいながら、解きあかしていくような展開になっているところ。言葉は少ないけれど、少年の視点を追っていくうちに、その日の夜に壁に手形をつけてみようと思いついた理由が感覚的に理解できるような気がしてくるのです。はるか昔のまた昔。手形を通して浮かびあがってくる感情や物語を絵本の中で体験してみてくださいね。
この書籍を作った人
オランダ出身のイラストレーター、作家。これまでに手がけた絵本は20冊を超える。文、絵ともに手がけた絵本は本書が初。日本で紹介された絵本に、『ウィルと ふゆの おきゃくさん』『ウィルと はるの おきゃくさん』(光村教育図書)など。アメリカ、ニューヨーク州在住。
この書籍を作った人
津田塾大学大学院イギリス文学専攻修士課程修了。学校司書、国立国会図書館国際子ども図書館の非常勤調査員として勤務しながら、ミュンヘン国際児童図書館の日本部門を担当。訳書に、『森のユキヒョウ』(岩波書店)、『糸をつむいで世界をつないで』(ほるぷ出版)、『心をひらいて、音をかんじて』(光村教育図書)など。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。