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作: 宮沢 賢治 絵: おくはら ゆめ  出版社: 三起商行(ミキハウス) 三起商行(ミキハウス)の特集ページがあります!
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アメリカで数々の賞に輝いた、こわ〜いにんじんがやってきた!『きょうふのおばけにんじん』中川ひろたかさんインタビュー

にんじんが大好きなうさぎのジャスパーは、最近、美味しいにんじんがたくさん生えている、秘密の畑を見つけてご満悦。しかし、ある日を境に、誰かの視線を感じ、「キャロッ キャロッ キャロッ」という妙な声を耳にするようになります。そして、次第にキャスパーの身の回りにちらつく、オレンジ色の影……。
まるでショートムービーを観ているような感覚が味わえる、絵本『きょうふのおばけにんじん』(学研)。ちょっと怖いものが大好きなお子さんにおすすめの一冊です。
この本を翻訳した、中川ひろたかさんにおはなしを伺いました。数々の絵本の文章を担当している、中川さん。今回の絵本の翻訳はどのように映ったのでしょうか……?

きょうふのおばけにんじん
作:アーロン・レイノルズ
訳:中川 ひろたか
絵:ピーター・ブラウン
出版社:学研

うさぎのジャスパーは、にんじんが大好物! 秘密の畑のにんじんは、大きくて甘くて、しかもいつでも食べ放題! でも、それも、不気味なやつらがつけてくるまでは…。アメリカで数々の賞に輝いた傑作絵本が日本にやって来た! ハロウィンにぴったり!

打ち合わせをして2日で、翻訳の第一稿を書き上げました。

───絵本の文章をたくさん書いていらっしゃる中川さん。今回は翻訳のお仕事ですが、最初に『きょうふのおばけにんじん』を読んだときの感想を教えてください。

おもしろかったですね。

───この本の翻訳は、中川さんから持ち込んだのですか?

2017年の2月くらいに、編集者さんから連絡が来たんです。その編集者さんのことは、ずいぶん前から知っているんだけど、一緒に仕事をしたことがなかったのね。それで、「そろそろお仕事をしましょう」って話をしているときに、この本の翻訳を依頼してくれたの。それが嬉しくてね。最初の打ち合わせの2日後くらいにはもう第一稿を書いて送ったんだよ。

───それはかなり早いですね!

中川さんは仕事が早いことで有名なんです(笑)。でもね、この『きょうふのおばけにんじん』は2013年にアメリカで出版されているんだけど、ちょうど、ぼくが翻訳をスタートさせたくらいに同じうさぎのキャラクターで続編が出版されることが分かったの。“CREEPY PAIR OF UNDERWEAR!”というタイトルなんだけれど、翻訳版のどちらを先に出版するか、出版社さんの中で、ちょっと悩んだみたい。

───UNDERWEARということは、パンツのおはなしなんですか?

そう。ぼくは「パンツがだいすき」シリーズ(講談社)の翻訳をしているから、「パンツのおはなしなら、中川さんだろう!」って、今回の依頼が来たのかもね(笑)。でも、いろいろ出版社さんの中でやりとりがあって、やっぱり第一作目から出版しようということになったみたいです。


右が2017年に出版されたシリーズ2作目。

───『きょうふのおばけにんじん』の原書のタイトルは“CREEPY CARROTS!”。“CREEPY”には、「身の毛のよだつような」という意味があるようですね。

第一稿では、タイトルを「にんじんだいさくせん」にしていたんですよ。でも、編集者さんから「もう少し、怖い感じを出してください」と連絡が来て、原題の意味に近い『きょうふのおばけにんじん』にしました。「にんじんだいさくせん」も自分の中ではかなり気に入っているんだけど、今思うと、タイトルでネタバレをしているよね。

───ちょっと怖い感じが入っている、今のタイトルは、表紙の雰囲気と合っていますよね。

そうなんですよ。「にんじんだいさくせん」は、おはなしの面白さを伝えたくて、最初に浮かんだんです。でも、この絵本はおはなしはもちろん、絵の構図もとてもユニークなんです。昔のモノクロ映画をほうふつとさせる感じで、すごくオシャレ。キーカラーであるオレンジ以外の色味をグッと抑えているのも、絵本の世界に引き込まれていくよね。

───ショートムービーを見ているような構図が、見ごたえありました。

それは、最初のページをめくってすぐに出てくるタイトルや、イラストにあえて黒い縁をつけている、演出方法も効果を発揮しているんだと思う。絵を担当したピーター・ブラウンさんが、昔のモノクロ映画が好きなんじゃないかな。日本語に翻訳するときも、デザイナーさんがかなりこだわって、タイトル部分のデザインを工夫してくれたそうですよ。


原書(左)と翻訳版(右)。

───本当だ! 原書の印象そっくりのデザインになっていますね。タイトル以外に、翻訳をするのが難しかった場面はありましたか?

うーん……。にんじんたちの声かな? これは原書には載っていないので、自分で考えました。

───「キャロッ キャロッ キャロッ」という声は、原書にはないのですか?

ないんですよ。でも、編集者さんから「ニンジンの声を考えてください」って言われちゃったから一生懸命、考えて……。本文の中に、「きみょうな おと」「ぶきみな にんじんの すがた」という表現が何度も出てくるので、ちょっと不気味に感じるような声にしました。

───文字も少し装飾されていて、不思議な雰囲気を感じるデザインになっているのも、こだわりを感じました。
絵本では、にんじんがたくさん生えている畑を見つけて、毎日のように畑ににんじんを食べにくるジャスパーが、次第にきみょうな音を耳にしたり、怪しい影を見たりして、精神的に追い詰められていきます。
絵本の中のジャスパーのように、誰かの視線を感じたりしたことは、中川さんにはありますか?

ぼくはね、電車に乗ってるときとかに、すごく視線を感じることがあります。ふっと視線を追っていくと、あかちゃんがじーっとこちらを見てる。それは、絵本を描くずっと前から。10代の学生の頃からそうだったんだよね。

───あかちゃんが気になる存在だったんですね。それは、好意的な視線でしたか?

「こいつ誰?」みたいな目で見てるのよ(苦笑)。でも、そのことがあったから、自分が子どもに興味持たれるタイプの人間かもしれないっていうことを、意識し始めて、保育園の先生という職業に行きついたのかもしれない。

───中川青年の未来を決める、ひとつのきっかけが、そのあかちゃんの視線を集める、能力だった……と。

そうだね。あと、自分がこのにんじんみたいなことをやったこともあるよ。

───『きょうふのおばけにんじん』に出てくる、にんじんみたいなことですか?

そう。車の助手席に乗っていたんだけどね。道が渋滞していて、なかなか進まないの。そういうときって、歩道を歩いている歩行者を追い抜いたり、歩行者に追い抜かれたりするじゃない。そのときは、小学生くらいの男の子が道を歩いていたんだけど、お車が追い抜くたびに、“こーんな”変な顔をして、追い抜いていたんだよ。

───怒っているんだか、悲しんでいるんだか分からない表情ですね。

男の子は、最初しらんぷりしているんだけど、何度もやっていると、気になるでしょう。車が追い抜くたびに、チラチラとこちらを見ていたんだよね。そういうことはやったことがあります(笑)。

───きっと、その男の子もジャスパーのように、車からずっと変な顔でこちらを見ているおじさんのことを、忘れられないでしょうね……。ちなみに、ジャスパーはにんじんに目がないウサギの男の子ですが、中川さんが大好きな食べ物は何ですか?

そうだね〜。一週間、毎日同じ献立でも良い食べ物って聞かれたら、「グリーンピースご飯」って答える。ものすごく好きなんですよ。あと空豆とか、トウモロコシとかも好きだね。

───豆類や穀物が好きなんですね。

そう。グリーンピースご飯を肴にお酒が飲める(笑)。

───にんじんはどうですか?

にんじんは好きでも、嫌いでもないかな。あ、でも、うちの母親は嫌いなんだよね。でも、子どもには、好き嫌いせずに食べてほしいじゃないですか。母もぼくにはにんじんを食べさせようとしていたんだよね。でも、あるとき、カレーライスかな? 作ってくれたときに、ぼくは、母のお皿にだけにんじんが入っていないことに気づいてしまったんだよ。

───お母さん、中川さんのカレーにはにんじんを入れて、自分のお皿には入れていなかったんですね。

それを指摘されたときは、ちょっと気まずそうにしていたよね。それからしばらくは、嫌いなものを食べさせられそうになったときは、母のにんじん嫌いを引き合いに出していたと思うな(笑)。

───中川さんは嫌いな食べ物はありますか?

子どもの頃はあったけどね。ナスとかピーマンとか。でも、大人になって居酒屋で飲むようになってから、美味しいと感じて大好きになったね。そういえば、ミョウガとかも子どもの頃はちっとも美味しいと思わなかったけれど、今は欠かさないから、ふしぎだよね。

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中川ひろたか(なかがわひろたか)

  • 1954年埼玉県大宮市生まれ。日本ではじめての男性保育士として、5年間千早子どもの家保育園に保父として勤務。1987年、みんなのバンド「トラや帽子店」を結成。リーダーとして活躍。「みんなともだち」「世界中のこどもたちが」などは、たくさんの子どもたちに歌われている。1995年「さつまのおいも」(童心社刊)で絵本デビュー。「たなばたプールびらき」他ピーマン村の絵本シリーズ(童心社刊)、「わりとけっこう」(絵本館刊)などの作品がある。絵本「ないた」で日本絵本賞受賞。絵本作家、詩人の他にも、ラジオDJなど、多方面で活躍中。

作品紹介

きょうふのおばけにんじん
作:アーロン・レイノルズ
訳:中川 ひろたか
絵:ピーター・ブラウン
出版社:学研
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