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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  かこさとしさんの「だるまちゃん」シリーズの魅力に迫る!編集者インタビュー


貴重な初版本がずらり!


担当編集者、井原美津子さんにうかがいました!(「だるまちゃんシリーズ」は約50年間のあいだに8冊が作られているため作品によって編集者が異なり、そのつど引き継がれています。井原さんは『だるまちゃんとにおうちゃん』から担当になられたそうです)

───だるまちゃんシリーズと言えば、もう井原さんご自身が子どもの頃からあったのでは・・・。読んでいましたか?



読んでいました、読んでいました。『だるまちゃんとてんぐちゃん』では「てんぐちゃんのようなぼうしがほしいよう」と言うだるまちゃんに、だるまどんがありったけのぼうしを並べる場面がありますでしょう。そのページなんかうっとりして、ひとつひとつぼうしを眺めていたことを思い出します。
「てんぐちゃんのようなうちわがほしいよう」と言って、結局庭のやつでをうちわにするのですが、我が家の庭にもやつでがあったので「とって!」と親にたのんで、とってもらったことも覚えています。


───「だるまちゃん」は、私も小さい頃から身近にあった存在。子煩悩なだるまどんや、やさしいお母さん、かわいい妹のだるまこちゃんなど、だるまちゃん一家も印象的でした。

だるまちゃんとてんぐちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店

ながい鼻とかうちわとか、てんぐちゃんの持っているものを何でも欲しがるだるまちゃんの物語を、親しみやすい絵で語ってゆく、ユーモアあふれる絵本。

───そしてなんといっても『だるまちゃんとかみなりちゃん』がだいすき。この絵本も人気がありますよね。
絵本作家さんがお気に入りとして、この本をあげるのを何度か聞いたことがあります。

だるまちゃんとかみなりちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店

だるまちゃんシリーズの2作目。だるまちゃんは、今度はかみなりちゃんと親しくなり、雷の国に案内されます。漫画風の絵で描かれる雷の国の楽しさは抜群です。


そうなんですね。私自身もだいすきでこのふたりが空をにらむ場面を、中学生のときの吹奏楽部の楽譜ファイルに入れて持ち歩いていたことがあります。個人的なことですが(笑)。

───本当ですか?それだけ井原さんもお好きだったと(笑)。この絵は、いま福音館書店さんのFacebookのカバー写真になっていますよね。「絵本よむ? 外であそぶ?」のキャッチコピーが、この絵と夏にぴったり!
以前どこかのインタビューでかこさんが、最初に『だるまちゃんとてんぐちゃん』を出したときに懐古趣味だと言われて、僕はへそ曲がりだからそれじゃあ次は近未来だと、『だるまちゃんとかみなりちゃん』を出したとか・・・。

そう言えば、どこかでおっしゃっていたかもしれませんね(笑)。
先日(6月25日)発売になった『未来のだるまちゃんへ』(文藝春秋)という、かこさとしさんの語りおろしの本のなかでも語られていますが、だるまちゃんにはモデルがいる、と。その話はご存知ですか?

───いいえ! あのだるまちゃんにモデルが?




貴重な資料とともにお話をうかがいました

はい。だるまちゃんは「てんぐちゃんのようなものがほしいよう」と、だだをこねますよね。決して聞き分けのよい子には書かれていない。子どもとは本来そういうものだ、と、かこさんはおっしゃいます。かこさんが出会ってきたたくさんの子どもたちがだるまちゃんのモデルなのだそうです。
「だるまちゃんは(中略)ちいさくてもひげのある――甘えん坊でがんばりやの――いってみれば読者児童の変身をそこに求めました」(「こどものとも」131号『だるまちゃんとてんぐちゃん』折り込みふろく「絵本のたのしみ」より)と。

───モデルは「読者児童」。つまり子どもたち、みんな。だるまちゃんは子どもの代表だったのですね!
だるまちゃんってひげがあって、こわい顔をしているみたいなのに、どうしてこんなにかわいいんだろう、そもそもなんでだるまが主人公なの?と不思議なことがいっぱいあります。

「だるま」はインド中国の「達磨」を祖として、日本の風土のなかで形づくられたといってもよいもの。ユーモラスなまるみをおびた形に手足をあらわし、「だるまちゃん」が生まれました。
そもそも、かこさんがこの本を思いついたきっかけには「マトリョーシカちゃん」との出会いがあったそうです。

───『マトリョーシカちゃん』・・・たしか、かこさんの絵本がありますよね。

はい、「かこさとし文・絵」の下に「原作ヴェ・ヴィクトロフ/イ・ペロポーリスカヤ」って書かれていますでしょう。これは、かこさんが戦後、定期購読されていたソ連の絵雑誌で見た原作を、忠実に再現したものなんです。
かこさんは、当時かかわられていたセツルメントの活動(貧困地区や工場町で、学生などによって行われる生活向上のための社会事業)に生かそうと、外国の絵本や絵雑誌を手に取られていたようです。そんななかで目についたのがソ連の絵雑誌に掲載されていた「マトリョーシカちゃん」。コマ割りのマンガのようなお話ですが、民族の郷土玩具のいろんなものを総動員して、ひとつのストーリーに仕立てられている。これを見て、なるほど郷土玩具か!おもしろい、と思われたそうです。


ソ連の絵雑誌について「母の友(2013年10月号)」でかこさんがお話されています

───なるほど、そんないきさつがあったのですね! 

ですから、かこさんご自身も「だるまちゃんのおおもとはソ連の絵本です」とおっしゃっていて、日本の郷土玩具をしらべるなかで、だるまちゃんやてんぐちゃんが生まれていったのだとおっしゃっています。

子どもは、あそぶのがしごとだ!

───少し話がもどりますが、『だるまちゃんとかみなりちゃん』のどこが一番好きだったかというと、あの、すべての絵にツノがついているところだったんです。なぜ子ども心に、ツノがあんなに心をわしづかみにされるほど魅力的だったのだろうと、不思議なくらいです。「けんけんぱ」の輪っかまでツノがついて、浮き輪もツノがついて。

そうですよね、あんまりぜんぶにツノがついているから、ひょっとしたらツノがついていないものがどこかにあるんじゃないかと、探しましたもの(笑)。

───やっぱり(笑)。かこさんの本って、必ずどこかに遊びの要素が入っている。それが子ども心をくすぐるんじゃないかと思います。

『だるまちゃんとてんぐちゃん』では必ず、次のページの答えが、ひとつ前のページのどこかに出ていますよね。
『だるまちゃんとうさぎちゃん』には、さらに具体的に、指人形の作り方や、りんごうさぎの作り方が登場します。

だるまちゃんとうさぎちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店

だるまちゃんシリーズの第3作目。雪の日、だるまちゃんはうさぎちゃんたちに会い、いっしょに遊び始めました。冬の遊びをふんだんに紹介している絵本です。

『だるまちゃんととらのこちゃん』出版時には、かこさんがこんなふうにおっしゃっています。
「これまでの絵本では『おかげで、りんごのうさちゃんを何個も切らされた』とか『雨がさをもってとびおりてしょうがない』などという苦情や訴えを頂きましたが、今回は美観汚染教唆罪(?)にならぬよう念じる次第です」(「こどものとも」335号『だるまちゃんととらのこちゃん』折り込みふろく「絵本のたのしみ」より)

───(一同笑)

つまり『だるまちゃんととらのこちゃん』を読んでまた、いろんなところをぬりたいという子どもが増えちゃうんじゃないかということですね(笑)。

───赤土ねんど、黄土ねんどがペンキ代わりになるんだ! 道路や建物って、絵を描いたり色をぬったりできるものなんだ!と驚きでワクワクしました(笑)。このあたりは『地球』『海』などの科学絵本シリーズを描かれているかこさんらしい視点も感じちゃいます。

「とらのこちゃんとだるまちゃんが、読者に代わって、ぐちゃぐちゃ泥んこ遊びやトムソーヤーの塀ペンキぬりの面白さを、衣服を汚さず、親や家の人に叱られないで、実現してくれる」(巻末「作者のことば」より)
「思う存分だるまちゃんたちにやってもらい、一度はやってみたいとひそかに思っている子どもたちにすこしお裾分けしたということです」(前出、同折り込みふろくより)とおっしゃっています。
とらのこちゃんも、張り子のとらなど、神社のお守りや郷土玩具として愛されてきた虎から、発想を得ていらっしゃるのだと思います。

だるまちゃんととらのこちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店

だるまちゃんシリーズの第4作目。だるまちゃんは、ペンキ屋さんの子・とらのこちゃんと、とらの町いっぱいのいたずらがき、ペンキぬりにと大活躍します。

───『だるまちゃんとだいこくちゃん』『だるまちゃんとてんじんちゃん』でもだるまちゃんは目一杯遊びます。『だるまちゃんとやまんめちゃん』では、やまんばの娘と友だちになり、おはじきやどんぐりならべ、葉っぱで作った鳥を飛ばして遊ぶのですよね。だるまちゃんシリーズはまさに「あそびの本」と言えるのではないでしょうか!?


やまんめちゃんと遊ぶ、だるまちゃん

そうですね、かこさんは子どもたちのことをすごく信頼されています。インタビューでもお話されていますが、子どもには遊ぶ力がある。大人は子どものじゃまをしてはいけない、と。新作『だるまちゃんとにおうちゃん』では、まさに地面と松の木しかないお寺の境内で、子どもたちがいろんな種類のすもうをとって遊びますよね。ここには、かこさんの「子どもたちの遊ぶ力が、生きる力」だと信じる、原点が描かれているのではないかと思います。

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加古 里子(かこさとし)

  • 1926(大正15)年福井県武生町(現・越前市)生まれ。1948年東京大学工学部卒業。工学博士。技術士。
    民間化学会社研究所に勤務しながら、セツルメント活動、児童文化活動に従事。1959年から出版活動にかかわり、1973年に勤務先を退社後、作家活動とともに、テレビニュースキャスター、東京大学、横浜国立大学などで児童文化、行動論の講師をつとめた。
    また、パキスタン、ラオス、ベトナム、オマーン、中国などで識字活動、障がい児教育、科学教育の実践指導などを行い、アメリカ、カナダ、台湾の現地補習校、幼稚園、日本人会で幼児教育、児童指導について講演実践を行った。
    『だるまちゃんとてんぐちゃん』『かわ』(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)、『富士山大ばくはつ』(小峰書店)など、500冊以上の児童書の他、『伝承遊び考』(全4巻・小峰書店)など著書多数。
    土木学会著作賞、日本科学読物賞、児童福祉文化特別賞、菊池寛賞、日本化学会特別功労賞、神奈川文化賞、川崎市文化賞、日本児童文学学会特別賞、日本保育学会文献賞、越前市文化功労賞、東燃ゼネラル児童文化賞などを受賞。
    現在、科学、文化、教育に関する総合研究所を主宰。

作品紹介

だるまちゃんとてんぐちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
だるまちゃんとかみなりちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
だるまちゃんとうさぎちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
だるまちゃんととらのこちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
だるまちゃんとだいこくちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
だるまちゃんとてんじんちゃん
だるまちゃんとてんじんちゃんの試し読みができます!
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
だるまちゃんとやまんめちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
だるまちゃんとにおうちゃん
作・絵:加古 里子
出版社:福音館書店
日本伝承の あそび読本
著:加古 里子
出版社:福音館書店
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