「ピヨピヨ」シリーズや「ペンギンきょうだい」シリーズなど、愛嬌たっぷりのキャラクターや隅々まで緻密に描かれた画面で、子どもたちを惹きつけてやまない工藤ノリコさんの絵本。11月に、これまた子どもたち(大人たちも!)の心をくすぐる新作『ノラネコぐんだんパンこうじょう』が刊行されました。作者の工藤ノリコさんに、作品誕生秘話をお聞きしてきました。
おいしそうなパンが気になるノラネコぐんだん。 ワンワンちゃんのパンこうじょうにしのびこみ、 見よう見まねでパンづくりに挑戦!? 食いしんぼうのノラネコぐんだんが巻き起こす にぎやか大そうどう! 「こどもMOE」vol.2で大人気のふろくが 絵本になりました。
●「ワルかわいい」!? ノラネコぐんだん
───主人公のノラネコぐんだんは、もとは月刊「MOE」で連載中の4コマ漫画「ワンワンちゃん」に登場するキャラクターですよね(コミックス『ワンワンちゃんデラックス』も発売中)。ノラネコたちの大胆な行動やとぼけたセリフがおかしくて、工藤さんの絵本と漫画の楽しさが合体したような、ワクワクドキドキの展開です。このお話は、どんなきっかけで生まれたんですか?
3〜4年前、「ワンワンちゃん」の担当編集さんと打合せをしていたときに、「ノラネコぐんだんが主人公の絵本があったら面白そう!」と盛り上がったんです。それまで、“2歳ぐらいの子が眺めるだけでも楽しめる絵本”を目標に、子どもたちが喜ぶものを細かく描きこむ作品を何冊も作ってきたので、そろそろ新しいことにも挑戦してみたいな、と思っていた時期で。ちょっと悪いノラネコが活躍したり、笑えたりオチがあったりと、起承転結のあるストーリーを考えてみようと思いました。
───この作品の初出は、親子向け情報誌「こどもMOE」の付録絵本でしたね。いつもの工藤さんのファン以外の方からも、さまざまな反響があったとお聞きしましたが、特に印象的だった感想は?
ノラネコぐんだんはまわりを困らせてばかりなので、みなさんに「かわいい!」と言ってもらったのが、ちょっと意外でした(笑)。
───「ワルかわいい」ですね(笑)。描いていて楽しかったのは、どんなところですか?
パンがたくさん並ぶ、冒頭のシーンです。昭和っぽい懐かしいパンが大好きなので、自分好みのパンを描いているうちにパンが無性に食べたくなって困りました(笑)。それと、これまで小さいものばかり描いてきたので、巨大なパンが描けたのも気持ちよかったです。ノラネコぐんだんとは長いつきあいということもあって、どういう性格でどんな行動をするキャラクターなのかが自分の中でかなり固まっていたので、こちらが考える前に勝手に動いてくれるという感じで、楽しく描くことができました。