★2010 年カナダ総監文学賞受賞作! ジョン・クラッセン 絵本デビュー作! よるのまちに おどるねこたち。2 ひき 4ひき 6ぴきとふえていって・・・・。さて ねこたちは なんびきまでふえる?どようのよるに ろじうらでねこたちの たのしい ダンス・パーティーがはじまる!
●今のクラッセンとはひと味違う、かわいらしいねこの絵が魅力
───どうして『Cat’s Night Out』を出版することになったのですか?
出口 子育てがきっかけで、絵本が大好きになったことが一番です。「かわいいな」「ステキだな」と思う絵本を買い集めていたら、家に絵本がいっぱいになって。子どもたちも絵本が大好きなので、「自分の大好きな絵本を出版したい」と、思い切って会社を立ち上げました。
───それはすごい思い切りですね!

出口 自分でも、信じられないです(笑)。そこで出版する作品を探している中で、ジョン・クラッセンが初めて作画を担当したという絵本『Cat’s Night Out』と出会ったんです。そして、イラストのタッチにすごく心を惹きつけられました。NYの裏通りをイメージさせるようなセピア色で、すごく大人っぽい雰囲気の中、かわいらしいねこたちが踊りながら増えていくんです。それが数え歌になっていて、おはなしにもユーモアがあふれているので、一目で好きになりました。
───クラッセンといえば、『どこいったん?』と『ちがうねん』のように、ちょっとドキッとするシュールなおはなしのイメージが強いですが、『Cat’s Night Out』の文は、キャロライン・スタットソンさんという作家さんが担当していますね。
出口 アメリカの絵本作家さんで、8冊ほど絵本を出版していますが、日本で彼女の本を出版するのは『Cat’s Night Out』が初めてになります。原書の英文は、韻を踏んだ文章になっていて、そのリズム感がいいなと思いました。キャロラインさんは、絵本制作の傍ら、図書館での読み聞かせやパペットショーなども行っていたので、声に出して読んだときのリズム感を大切にしていたのかもしれません。

───絵柄も、現在のクラッセンとはひと味違って、かわいらしさが前面に出ていますね。クラッセンが文も手がけた絵本に登場するキャラクターは、感情を感じさせない「目」にインパクトがありますが、『Cat’s Night Out』のねこは、ずっと目をつぶっておどっているんですよね。
出口 そうなんです! ねこの瞳ってすごく特徴的ですが、あえて目を描かないことで、個性や感情を感じさせない表現になっているのかなと思いました。セピア調の色合いでまとめていることも含めて、クラッセンの原点を感じていただけると思います。クラッセンを知らない方には、2本足で立ってダンスをする、ねこたちのかわいいしぐさを楽しんでもらえると、うれしいですね。

───みんな目を閉じているので、ダンスをしながらうっとりしているようにも見えます。オールドNYをイメージさせる背景も合わさって、全体的にオシャレな雰囲気の絵本だと思います。
出口 この本ならではのオシャレな雰囲気を、小さいお子さんにも感じてもらえれば。
───大人の世界をのぞき見するような、ちょっぴり背伸びした感覚が味わえそうですね。次のページでは、翻訳絵本出版のこだわりをお話してもらいます。