なきたろうは、怖くても泣き、うれしくても泣き、困ってもお腹がすいても大泣きする子どもでした。
なきたろうにとって泣くことが、唯一の感情表現だったのです。
声の大きさに困り果て、涙の塩分で田畑に塩害が起きることに困り果て、なきたろうは強くなれと村から旅に出されました。
でも、なきたろうは自分で成長できたのです。
それは、一つは優しさでした。
水の小人たちの村を守るためには、自分が泣いてはいけないという使命感でした。
もう一つは、堪えるという忍耐力でした。
なきたろうは泣くのを我慢できるほどに成長していたのです。
めでたしめでたしのお話ではあります。
やさしさや忍耐力が強さに勝るという教えのように思いました。