「スイミー」をはじめとするレオ・レオニのオリジナリティー溢れる、子供心を擽る温かなタッチの切り絵と共に綴られる谷川俊太郎さんならではのテンポ良い文章にこどもならずとも惹き付けられること間違いなし。
作中のものいうきのこが呟く「クイルプ」という耳慣れない愉快な言葉も、印象的で思わず自分も一緒に呟きたくなってしまいます。臆病者のねずみ、シオドアがこのものいうきのこを利用して仲間達にうそをつき、弱者から強者になろうと試みるものの、そのうそが原因で仲間の元にいられなくなるというストーリー展開から、「うそをついてはいけない」という道徳心を育てることがストレートにできる作品だと思います。明快なストーリーと親しみやすいイラストに幼児でも、感情移入し易く、作者の言わんとすることが、伝わり易い作品です。