雷がゴロゴロと鳴る激しい夕立の中、
一つ屋根の下にいるのはオオカミとヤギ。
その状況を聞いただけでみんな思います。「ヤギ、大丈夫なの?」
ずぶぬれになっている所を、オオカミの家に雨宿りとして迎えられたヤギ。
オオカミは親切にタオルを渡してくれるのですが、心配になっちゃいますよね。
それもそのはず、オオカミはヤギが大好物。
ところが、あれ?何だか様子がおかしいみたい。
怖がるはずのヤギが堂々と大きな声で歌っていて、
怖がらせるはずのおおかみがどんどん震えていくよ。
一体何があったというの?
道具はしゃみせん一本。
さてさてヤギはとんでもない作戦をとったようですが・・・!?
トリニダード・ドバゴ共和国に伝わる民話をもとに、ユニークすぎるお話を作ったのはあきびんごさん。
ポイントは、メインとなる場面でヤギが繰り返しうたう歌。ほとんど同じフレーズだけど、うたう度にイメージがどんどん増長されていくのです・・・。さすが言葉の力を知り尽くしているあきさんならでは。
そして、更に自由でダイナミックで迫力のある絵が、ヤギさんにどんどん力を与えているかのよう(笑)。
見ているだけで、こちらもたじたじになってしまいます。
この、ちょっととんでもない絵本。登場するヤギもオオカミも、笑わせようなんて一つも思っていないのに、もう途中から笑いが止まりません。読む方も読んでもらう方も、心して取りかかってくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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