たった10分で寝かしつけができる!? それって本当?
英米でベストセラーとなったスウェーデンの行動科学者の本『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』が、日本でも発売になりました。読み聞かせると子どもがリラックスして、眠りに入りやすくなるそうですが……?
お話をうかがったのは、日本語版の監訳者であり、快眠セラピストの三橋美穂さん。いったい本書にはどんなしかけがあるのか、三橋さんに解説していただきました。
インタビュー後半では「眠りこそが脳を育て、子どもを育てる!」という三橋さんのお話に大注目。子どもに睡眠時間が必要なのはなぜか、語ってくださっています。おとうさんおかあさん必見です!
- おやすみ、ロジャー
- 著:カール=ヨハン・エリーン
監:三橋 美穂 - 出版社:飛鳥新社
米英仏スペインでアマゾン総合ランキング1位の世界的ベストセラー! 読むだけでお子さんがすぐ眠る、心理学的効果が実証済みのまったく新しい絵本です。 「本当に言葉がありません! 2〜3時間かかっていた寝かしつけタイムが、12分で終わってしまいました!それもたった2ページ目の途中で」 「うちの息子は、3分ぐらいであくびを始めて、10分後には熟睡しました」 (イギリスのアマゾンレビューより) 心理学・言語学研究者の著者が、「子どもがなぜ寝たくない気持ちになるのか」を徹底的に考慮。自然に眠くなるよう「ここを強調して読み、ここであくびするように」などの細やかな指示が入っています。従来のいわゆる「おやすみ絵本」とは違ったコンセプトで、理論にもとづきお子さんをリラックスさせます。 英デイリーメール紙、テレグラフ紙、米CBSニュース、ハフィントンポスト紙、ニューヨークポスト紙等、有力メディアが続々特集。
●「うちの子、なかなか寝てくれません…」毎晩寝かしつけに時間がかかるパパママに朗報!
───お話の主人公は、眠いのに眠れないうさぎの子、ロジャー。
ロジャーと【なまえ(読み聞かせるお子さんの名前を入れます)】は、親切な魔法使いのあくびおじさんに会いに行き、眠くなる魔法の粉をかけてもらって、おかあさんが待つ家に帰ってきて眠ります。
お子さんの名前を入れながら読む以外は一見ふつうのお話ですが……寝かしつけに効果があるとか!?
声に出して読むとリラックス効果があるんです。ゆっくり読むとなおいいです。「ロジャー」を「ロー、ジャー」とのばすようにして読んでみてください。ゆ〜ったり読むのが効果的です。
───「これで子どもが眠れるなんて、本当〜?」と思うのですが、文中の【あくびする】という指示どおりにあくびを入れながら実際に読んでみると……。
読んでみました?
───読みました! うちも毎晩、幼児の寝かしつけに苦労しているので、半信半疑で。
いかがでしたか?
───それが、いつもなかなか寝ない子が、読み終わって5〜10分で寝てくれたんですよ!
うちは二人子どもがいるんですが、上の小学生の子は布団に入るとすぐ眠ってしまうのに、下の4歳の子の寝かしつけに毎晩一時間半かかります。でもこの本の【あくびする】箇所で親の私が何度もあくびしていると、だんだん子どももあくびするようになって……読み終わったあとすぐ眠ってくれました。その上、夜中もぐずらないし、翌朝すっきりと機嫌よく起きて大助かりでした!
すごいですね。きっとリラックスして一晩中よく眠れたんでしょうね。
この本は【なまえ】の場所にお子さんの名前を入れて呼びかけながらストーリーが進んでいくので、お子さんたちもロジャーと友達になった気持ちで、このお話の世界に入り込みやすいでしょうね。
私も、訳のチェックをするために声に出して読んでみたんですが、お話に入り込んでゆーっくり読んでいたら最後まで読めなかったです。途中で自分も眠くなっちゃって(笑)。
───それにしても、なぜ読むだけで?
本を読むことと眠りがどう関係があるのか、不思議でたまらないです。
この本には、びっくりするくらい色々な心理学のテクニックが入っているんですよ。
著者は心理学者であり行動科学者で、子どもがなぜ寝たくない気持ちになるのかを徹底的に考慮し、自然に彼らが眠くなるよう、リラックス効果を狙った指示を細やかに入れたストーリーを考えだしたそうです。
眠りに落ちるアファメーション効果(くりかえし自分に言い聞かせることで意識に働きかける効果)を高めるフレーズもあちこちに登場しますし、理学療法士が医療現場で行うのと同じ「自律訓練法」のメソッドも含まれています。
私も、この本に含まれるこういったさまざまなしかけが睡眠に効果的だと、知識としては知っていました。
でもまさか、こんなふうに子どものために“お話絵本”の形にすることがありうるとは思ってもみなかったので、すごく斬新だと思いました。今までにない絵本なので、おもしろいですよね。
───では、『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』 その冒頭をちょっとご紹介しましょう!
“いますぐ”(英語版では “now”)がくりかえし出てくるんですが、これも心理学のテクニックです。つねに“現在”に意識を戻して、眠ることだけに集中し、暗示の効果を高めることができるんです。
ふつうに音読するだけでも効果はありますが、慣れてきたら太字部分を強調したり、ブルーの文字部分をゆっくり読んだりしてみてください。
ぜひおかあさん、おとうさんがリラックスして読んであげてくださいね。読み手がリラックスするとお子さんにも伝わりますから。
───実際、何歳くらいの子に効果があるんでしょうか。
英語版では3〜7歳におすすめされています。でも、私は2歳以下でも、効く子には効くんじゃないかと思います。幼ければ幼いほど、親子、とくに母子のつながりは強いものですよね。おかあさんやおとうさんの声でやさしくリラックスして読んでもらえれば効くと思いますよ。
───読み聞かせをするときはどんな姿勢で読めばいいですか?
できればお子さんは横になったほうがいいでしょう。お布団に入って横になりながら、お話だけ聞くほうがいいと思います。そのほうがリラックス効果が高まります。