アイスゆうえんち
- 作・絵:
- のしさやか
- 出版社:
- ニコモ
絵本紹介
2025.08.19
こっちに真っ直ぐ、一歩左に寄ってー、そのまま思いきり……エイッ! 砂浜でのスイカ割り、どこまでも続く海を眺めながら、かぶりつけばシャリシャリ食感、口の中のタネはもちろん、プププーッ、と飛ばしっこ。
陽射しも暑さも広大さもおいしさも、大空の下、全身で感じる、楽しむ。夏は短いけれど、ギュッと濃縮した季節。いよいよ折り返しですが、まだまだ満喫しましょう!
飲み込んだら、さぁ大変!逃げ出したら、もっと大変!『すいかのたね』がテーマの2冊は、スイカ好きさんのみならず夢中になっちゃうおはなし絵本と絵さがし絵本です。読んだらスイカを食べたくなる……かな?
雲と目があったことは? 何を考えているんだろう? どうやったら友だちになれる? 空高く浮かぶ夏の雲、しおたにまみこさん最新作は、そんな雲に少し近づけるような美しく不思議な体験をさせてくれます。
この夏、行きたいところ、やりたいこと、食べたいものはまだまだいっぱい! もし実現できないことがあったら、絵本で思いきり楽しんでくださいね。
みどころ
冷たいお客さましか入れない「アイスゆうえんち」へやってきたのは、チョコアイスくんといちごアイスちゃん、まっちゃアイスくん。茶・ピンク・緑のかわいい3人です。
園の中に入ると、メリーゴーランドも回転ブランコも、回転カップも、乗っているのは本当にみーんなアイス!? 建物も噴水も何もかもアイスだらけだから、どれがお客さんでどれが施設の一部なのか正直わかりません……。とにかく、カラフルな絵が楽しい!
3人はメリーゴーランドやアイスカップの乗り物を楽しみ、屋台を見つけて「トッピングしてもらおうよ」と駆け寄りますが、気がつくとまっちゃアイスくんがいません! チョコアイスくん、いちごアイスちゃんは 大慌てで探し回りますが……?
細かいところまで描き込まれているので、屋台の前で泣いていた親子連れはどうしたかな? バギーに乗った子はどんな色の風船をもらったかな? と、あれこれ探してみるのもお楽しみ。そして後半の見どころは……そう、みんな大好きな例のアレですね。爽快感抜群の「ばっちゃーん!!」に笑顔になること間違いなし。
作者・のしさやかさんは『じいちゃんバナナ ばあちゃんバナナ』「おいしいふくやさん」シリーズ(共に、ひさかたチャイルド)など、食べ物が表情豊かに活躍する絵本が面白いのです。他の本も探してみてくださいね。
みどころ
2014年にドクター・スース賞を受賞した『すいかのたね』は、アメリカで大人気の絵本です。
主人公のワニは、すいかが大、大、大好きで、朝、昼、晩のごはんもデザートまでも、全部すいか。
「すいか、さいこう!」というワニの顔は誇らしげですらあります。
すいか、おいしいですよね。私もすいか大好きです。あまくて、みずみずしくて、シャリッとした食感も魅力的です。
でも、たねには注意しないと……と思っていたら、ワニ、うっかりたねを飲み込んでしまいました。
さっきまであんなに幸せそうだったのに、パニックになるワニ。
おなかの中で育っちゃったらどうしよう、つるが伸びて耳から出てきたらどうしようと気が気ではありません。
そうこうするうちに、おなかがゴロゴロしはじめました。たねが育ってきたんだと、ますます心配になるワニ。
そんなことないから大丈夫だよと声をかけてあげたくなります。
大人が聞いたらなんてことない些細な出来事ですが、そういえば自分も小さな頃はそんな風に考えていたなあとワニに共感。
いつの間にか、親子でうんうん頷いたり笑ったりしながら読んでいました。
そして、読み終わった後はやっぱりすいかが食べたくなります。読後が心配な方は、すいかを用意してから読んでくださいね!
この書籍を作った人
アメリカの絵本作家、イラストレーター。フィラデルフィア芸術大学で修士号を取得し、7年間教鞭をとる。デビュー作『すいかのたね』が2014年セオドア・スース・ガイゼル賞(ドクター・スース賞)を受賞。邦訳絵本に『はずかしがりやのきょうりゅう クランチ–あいさつのえほん』(シロッコ・ダンラップ作、早川書房)がある。
この書籍を作った人
弘前大学人文学部卒業。旅行会社勤務、雑誌のライターなどを経て翻訳者に。訳書に「ランプの精リトル・ジーニー」シリーズ(ポプラ社)、「ジュディ・モードとなかまたち」シリーズ(小峰書店)、『ノエル先生としあわせのクーポン』(講談社)、『キリエル』(あかね書房)、『ルルとブロントサウルス』(小学館)など、100冊以上を数える。宮城県出身、東京都在住。
みどころ
バナナくんは5人家族。
おとうさん、おかあさん、バナナくん、それからおじいちゃんとおばあちゃん。
おとうさんとおかあさんは黄色いバナナ。
バナナくんはまだ青い、緑色。
おじいちゃんとおばあちゃんは、ちょっと茶色い模様が浮き出たバナナです。
ある日おむかいのバナエさんが、おばあちゃんに言います。
「あらあら、あなたじゅくしてきたわね」
おばあちゃんは「まあ、それはおたがいさまよ」と笑います。
そう! バナナは熟してくると茶色っぽい模様がでてきて、皮がやわらかくなってくるんですね。
さて、ある日、バナナの皮につるっとすべって転んだバナナくん。
どうやらおじいちゃんが脱いだ皮のようですが……。
おじいちゃんはどこ? あれ、おばあちゃんもいない!?
家のお風呂場や冷凍庫から、変身したおじいちゃんとおばあちゃんが登場する場面にびっくり。
この絵本を読むと、バナナってこんなにたくさんの美味しそうなものに変身できるのね!とわくわくしちゃう。
バナナスイーツのページに、もうくぎづけです。
どのおやつも美味しそう!
年をとっていい色になって、熟してあまーくなって……。
どんな完熟バナナになって変身しようかしら……。
そう考えると熟していく人生もわるくない!
ユーモラスで美味しそうな、子どもたちが大好きなバナナの絵本です。
この書籍を作った人
1987年、千葉県生まれ。女子美術大学工芸学科卒業。背景美術制作会社勤務を経て、絵本作家となる。はじめて制作した絵本『やねうらおばけ』が、2014年第15回ピンポイント絵本コンペ優秀賞を受賞。繊細な鉛筆画で描き出す独特の世界が、読者を引きつける。作品に『そらからきたこいし』『やねうらべやのおばけ』(ともに偕成社)などがある。東京都在住。
この書籍を作った人
1936年イギリスのサリー州に生まれる。若いころは、兵役を拒否し、さまざまな仕事をしながら世界中をまわった。その後、ロンドンにある美術学校に通いながらイラストの勉強をし、ポスターなどを描いていたが、はじめて手がけた絵本『ボルカはねなしガチョウのぼうけん』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞、絵本作家として鮮烈にデビューした。その後『ガンピーさんのふなあそび』で再度受賞し、この賞を2度受賞したはじめてのイラストレーターとなる。『ガンピーさんのドライブ』『おじいちゃん』『ねんころりん』『旅するベッド』『エドワルド せかいでいちばんおぞましいおとこのこ』など多数の作品を発表しており、いま、世界で最も注目されている絵本作家のひとり。夫人は著名な絵本作家であるヘレン・オクセンバリー。
この書籍を作った人
〈1904-1989年〉佐賀県生まれ。毎日新聞記者を経て、絵本・写真・バレエの研究・評論に活躍。ヘレン・バンナーマン『ちびくろ・さんぼ』をはじめ、シド・ホフ『ちびっこ大せんしゅ』(大日本図書)など、児童書の翻訳を多数手がけた。
出版社からの内容紹介
グッチの水着にエルメスのワンピースをもって、南フランスのリゾートへでかけよう!
おしゃれネズミのクラリスがパリをとびだし、はじめてのバカンスに出発です。すてきなドレスをカバンにつめて、やってきたのはコート・ダジュール。のんびりとリゾートを満喫していたのですが、最終日に船のうえでまいごになってさあ大変。はたして帰りの飛行機には間に合うのか…ひょんなことから友達になった歌姫のあおいトリ、バレリーといっしょに、勇気をだしてピンチを乗り切れ!
シャネルやディオールと仕事をしてきたファッションイラストレーターの著者による大人気クラリスシリーズ第三弾。巻末のファッションコメントが入った著者あとがきは、日本語版のみのスペシャル特典です。
文/竹原雅子 編集/木村春子