かわうそのこどもオスカーは、すべりだいが大好き。
ともだちと一緒に、土手の坂を平らにしたすべりだいを勢い良くすべっては、パシャーン!と池に飛び込んで遊んでいます。けれども気持ちよくすべっていたある日、倒れていた大きな木にぶつかったオスカーは、木を倒したビーバーにおこって、ビーバーたちのいる山のてっぺんから、ながーいすべりだいを作って見せつけてやろうと考えます。池から離れてはあぶない、というお父さんの忠告にも耳を貸さず、山をのぼってのぼって森をぬけて、どんどんすべりだいを作っていくオスカー。すべりだいが完成して喜んだのもつかの間?まいごになったオスカーを後ろからこっそり狙うものがあらわれて…。
『カヌーはまんいん』『ひよこのアーサーがきえた』などの邦訳作品があるアメリカの作家、ナサニエル・ベンチリーのお話に、「がまくんとかえるくん」シリーズでおなじみのアーノルド・ローベルがさし絵をつけたこちらのお話。はじめはほのぼのとしたお話かと思って読んでいると、たちまち好奇心あふれるオスカーのぼうけんぶりにワクワクしたり、危険が迫ってきてハラハラドキドキ。けれども危険が迫る場面にもユーモアがあったり、思わぬ相手が助けてくれるところにほっこりしたり、短いお話の中でさまざま気持ちが動かされて、読み終わると心地良い満足感に包まれます。
1ページの文章が少なめで、続きが気になる楽しいお話は、はじめてのひとり読みにも、親子で読むにもおすすめの1冊。オスカーとお父さんのやりとりもとってもいいので、ぜひご注目下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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