結衣たちの住む桜が谷(さくらがや)団地はとても古い団地で、みんなに「おばけ団地」とよばれています。この団地には、ちょっと怖いうわさ話がありました。子どもたちのゆうれいだという「おくりっこ」、子どもを給水塔から突き落とす「黒マントの男」、屋上にむかってのびる「白い手」、まぼろしの「4号棟」・・・・・・ でもほんとうは、おばけやゆうれいより、もっとふしぎなことがおきていたのです・・・・・・
ぜひたくさんのお子さんたちに手にしていただきたい良質の児童書です。
日本のファンタジー童話の草分け的作家さんとして、
わたしは安房直子さん、あまんきみこさん、末吉暁子さん、神宮輝夫さん、佐藤さとるさんなどを上げたいと思っているのですが、
この「さよなら、おばけ団地」の文体や舞台設定からは、これら作家さんたちの創り上げてきた、日本のファンタジー(童話)世界ととてもよく似たものを感じました。
それでいて各章は、「おくりっこ」「黒マントの男」「白い手」「十三号住宅」「4号棟への手紙」など、都市伝説を思わせるようなタイトルになっています。
古き良き日本の童話のようでいて新しい、不思議な世界観がなんともいえず素敵です。
また、字は小さすぎず、行間も程よい開きがあって読みやすいです。
「おばけ団地」こと「桜が谷団地」内で起きる不思議な事件。
各章で主人公(語り手)は変わりますが、基本この桜が谷団地に住んでいる人または住んでいた人と、かかわりのある人たちによる証言が描かれているので、どんどんお話に引き込まれていきました。
怖いはなしが好きな人、不思議な話が好きな人、どちらにもお薦めです。
小学校4年生くらいからいかがでしょうか?(登場人物のメインの子たちが小4なので)
特に「黒マントの男」が私は好きです。
時代を超えて語ってくれる部分もよいし、最後のオチの部分もやられた!って感じによかったです。 (てんぐざるさん 50代・ママ 女の子22歳、女の子18歳)
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