日曜の朝。
ネノくんとキフちゃんがお布団で目を覚ましたら、誰かが呼んでいるのがきこえます。
「ハタケニオイデ ハタケニオイデ」
お父さんはとっくに畑でお仕事。
お母さんに「朝ごはんの前にがんばっておいで!」と送り出された、ネノくんとキフちゃんのきょうだいは、手押し車を押しながら畑に向かいます。
ふたりの背中を風も押してくれます。
風が吹く中、父さんは野菜の苗を植え、きょうだいは芋掘り。
落ち葉が風と遊んでる……と思ったら、
ネノくんとキフちゃんの顔に落ち葉がペタン!
なんと……大きな落ち葉にいつのまにか乗ったふたりは、「ふあり」と空へ。
ふたりだけではありません。
カエルも、キャベツの苗も、カブトムシも、カマキリも、お芋も!?
葉っぱといっしょに空を飛んで、どこへいっちゃうの!?
ふららん ふあん
ふろろん ふおん
ブオーン! ぴゅーん! ゴー!
いろんな風の音のオノマトペと共に、子どもと生き物が一緒になって吹き荒れます……。
どんどん風にのって、一緒に飛んで、おやおや、キフちゃんがすごいものにつかまっちゃったけど……!?
風の力強さと浮遊感、スピード感が痛快。
なおかつ、大空と大地が、風ごと生き物すべてを受け入れてくれているような、突き抜けた軽やかさがつたわってくる、傑作絵本。
『とべバッタ』や『はたけうた』など、自然をたっぷり見つめて絵本にしてきた田島征三さんならではの世界が描かれた絵本です。
最後は、こんなふうに風に身をまかせて、からくも大自然の力から逃げ切って、どっさり収穫したい!とうきうきしちゃうくらい、しあわせな自然の恵みが描かれます。
ちなみに、収穫物とキフちゃんをつかまえたとんでもないものは、本を読んでのお楽しみ。
ネノくんとキフちゃん兄妹のおはなしをもっと読みたくなった方は、ふたりの雨の日のお留守番を描いた『あめがふるふる』もオススメです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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