さむい、さむい、冬の夜。
おにいちゃんリスが、雪の気配を感じて、いいます。
「ゆきがふりそうだよ」
でも、いもうとリスは雪を知りません。
「ゆきってなあに?」
「それはね、あしたのおたのしみ。たくさんあそぼうね!」
そして翌朝、山は一面の雪景色!
家をとびだして、走り出す二匹の子リス。
はしゃぎまわって雪であそぶうち、いもうとはおにいちゃんの肩に、ちいさな白い花が咲いているのを見つけます――
あわい冬空の青と、やわらかな白で描かれた雪山の風景。
そのなかでヌイグルミのようなリスの兄妹があそびまわるようすを見ていると、積もるはずもないわずかな雪にさえ、ワクワクと胸おどらせていた幼いころの心持ちが、ありありと思い出されました。
ましてやそれが、一面の雪景色ともなれば!
冬はお花もないし、外に出てもつまらない……
そういってイジけるいもうとリスが、はじめての雪を見て、とたんに心おどらせ、はしゃぎまわるギャップ。
そして、雪の結晶を花に見立て、空の上に雪の花畑があると想像する無邪気さが、とても愛らしい一冊です。
よく見ると、雪の森にはリスの兄妹いがいの動物たちの姿も、チラホラ。
こりゃもうほとんど第二の主人公! みんな大好き、『白くてまんまる例の鳥』も、雪であそんでいるのです――
(堀井拓馬 小説家)
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