赤いぼうしをかぶった「わたし」が、まっすぐな眼差しで微笑んでいます。
「わたし」がぼうしをとると……。
編んだ髪を頭にぐるりと巻きつけ、中はもじゃもじゃの鳥の巣みたいな髪型!
編み込みを解くと、長くてふわふわの髪になるのです。
ぼうしをかぶっているとわからないから、びっくり。
なぜこの髪型になったのか、「わたし」はその変遷と理由を語ります。
昔は、短い髪の毛だったこともある。
だんだんのびて、長い髪を黄色にしたこともあるし、いちごみたいな赤にしたこともある。
髪型が変わるたびに、身につける洋服もカラフルに愛らしく、表情もくるくる変わっていきます。
いいときも、悲しくなっちゃうときも……。
髪型って、そのときのいろいろな気持ちでできている。
大事なのは、今の「わたし」にはこの髪型を選ぶすてきな理由があるってこと!
作者は、味わい深いおはなしを銅版画で描く、樋勝朋己さん。
あたたかみのある輪郭線、水彩絵具とのやわらかなコラボレーションが、「わたし」の生き生きとした表情や、繊細な空気感を醸し出します。
どの髪型、どの表情も、「わたし」。
語り口の心地よさ、やさしい読後感にほっと癒されます。
子どもはもちろん、大人も折りにふれてそっと開きたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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