私はモナ、8歳。フランス語のかきとりは得意だけど、さんすうは苦手。踊りが大好き。とても楽しくてきれいだから。学校の友達と遊ぶのも大好き。でも、わたしはみんなと同じじゃない。私には「くろいとり」がついている。どこに行くときも、何をしているときも……。
やっぱり「くろいとり」がついていた同じクラスのモーリシオが、ある朝から学校にこなくなった。私はここを離れるなんていやだ。踊りの発表会だって上手にできた。おとうさんは言ってくれる。
「みんな、うまく いくからね」
おとうさんとおかあさんと、親戚の家に住んでいるモナ。寝る時は家族3人同じ部屋。モナたちは、戦争をしている国から逃げてきて、ここフランスで暮らしているのです。ここで暮らしているのに、フランスに住む権利と働く権利を持っていないのです。
平和に暮らすためにやってきた彼女たちの不安な気持ちが、「くろいとり」として描かれます。その鳥は一人に一羽ずついて、その大きさを自在に変えていきます。
モナの楽しくて可愛らしい日常や、家族とのあたたかな触れ合い。ちょっぴりユーモラスな美しい絵で楽しみながら、それでも思うのは、戦争というのは、こうして私たちのすぐ身の周りに存在し、いつ自分の身に起きるとも限らないということ。年齢を問わず、想像力をはたらかせながら、しっかりと読んでもらいたい一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む