オハヨウどろぼうを知っていますか? 盗むのは「おはよう」のことば。みんなののど元で出番を待っている明け方に、家に忍び込んでかすめとっていくのです。でも、オハヨウどろぼうのすがたをちゃんと見た人はいません。窓の外に緑のマントがひらっと翻るのを見たとか、伸びた爪がタオルに引っかかったとかいう人もいるけれど、確かなことはわかりません。
被害に遭ったしんちゃんは、「ぼくのおはようをかえせ!ぼくの一日をかえせー」とおじいちゃんと一緒に犯人さがしにのりだします。探偵さながら、聞き込みをするしんちゃんとおじいちゃん。どろぼうが置いていったであろうみどり色の羽を手掛かりに、町の様子を聞いて回ります。はたしてふたりは犯人を探し出し、盗まれた「おはよう」を取り戻すことはできるのでしょうか?
作者のおのりえんさんは、絵本「おかしきさんちのものがたり」シリーズ(フレーベル館)や、童話『きっちり・しとーるさん』(こぐま社)など多くの児童作品を手がける作家さん。子どもたちにはNHK Eテレで人気となった『でんでら竜がでてきたよ』(理論社)が有名ですね。こちらの作品では、リズミカルな文章とともに、おのさんの描く優しくユーモラスなイラストも楽しめます。
「おはよう」をなくした日常は、なんとなく居心地が悪そうです。しんちゃんも、おはようを失って、あいさつの大切さやすがすがしさを実感したようですよ。
「おはようございまーす!」この楽しいおはなしを読んだら、きっと大きな声で元気にあいさつしたくなりますね。
(出合聡美 絵本ナビライター)
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