ある晴れた日の森の広場。
始まりは、ネズミがリスに話しかけたことからでした。
「せかいで いちばん すてきな うんちしちゃった」
細長い葉っぱの上にねずみがしたのは、豆粒のようなうんちひとつ。
たしかに、ちっちゃくてかわいい。
リスは言います。
「そりゃ、ちがう。ぼくの うんちが せかいでいちばん!」
そうして小枝の上に、小石のようなうんちを5つ。
うん、こちらもこちらで整った形をしてる。
そんな2匹の様子を薮から見ていたのは、イタチです。
「ちがいます。いちばん すてきなのは わたしのうんち」
あら、これまたねじれのきいた個性的なフォルム……。
さらにそれを見ていたケナガイタチに続き、アナグマ、キツネ、オオカミ……みんなが次々とやってきて我こそはと競い合うのです。
「自分のうんちが世界で一番……!」
表情を見ればわかります、動物たち、とっても真剣です。我がうんちをお披露目している時の顔、みんな自信に満ち溢れているんですから。確かにこのうんちも、あのうんちもすてき……
完全に彼らのやり取りに巻き込まれてしまうのは、テンポのいい会話、そして繊細なタッチと落ち着いた色彩のなかでどこか愛らしさをまとった動物たちの姿に見入ってしまうからでしょうか。2人のフランス人作家が手がけた絵本はユーモアに富みながらさりげなくおしゃれで、アートとしても楽しめます。
世界一のうんちについての談義は、とうとう森の長のようなオジカまで登場!……と、その時、動物たちを狙う影が突然!
まさかの展開の末、いよいよ決まる「世界一」は本を読んでのお楽しみ!
(竹原雅子 絵本ナビライター)
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