子どもたちが毎日をすこやかに、そして力強く暮らしていくためには、注意することだらけ! ぼんやりなどしていられません。けれどいったい、どんな注意があるというのでしょう。何はともあれ、まずは起きなくては始まりません。寝坊には注意しましょう。
朝の始まりは「今日の予定に注意」「服装に注意」「ヘア・スタイルに注意」から。食事にも天気予報にも、わすれ物にも注意。これは結構大変だ。
学校へ行く途中でも「ご近所に注意」「自動車に注意」。世間にも他人にも、下にも上にも親切にも注意、と続く。
学校へ着いたら着いたでさらに……。
気がつけば、日常の中には「注意」がたくさん。すでにしている注意もあれば、確かにそうだと気づく注意も。意識していなければ全く知らない注意だって隠れている。こんなに真面目に過ごさなければならないの!?
いえいえ、そこは五味さんです。よーく読んでいると、「いちおう注意」「とりあえず注意」「それなりに注意」。言っていることだって、それは確かにごもっとも。笑ってしまったり、納得してしまったり。そのうち、あれあれ注意するってなんだっけ?となってくるのです。五味さんの手にかかれば、「注意すること」が、なんて軽やかでユーモラスで面白いことなんだ、となってしまうわけです。
五味さんがご自身の子どものために描かれたというこの作品が、このたび嬉しい復刊として、また手に取ることができるようになりました。今の時代とも照らし合わせながら、「注意すること」「気をつけること」について捉え直してみてくださいね。
五味太郎さんによる子どもの暮らし方読本。最後は「注意しすぎないこと」。これだって大事な提言ですよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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五味太郎が日常の「注意」をユーモラスに描いた、気づき満載の名作が待望の復刊!
「ねぼうに注意 なにはともあれ 起きなくてははじまりませんので ねぼうには注意しましょう」
そんな朝の風景からはじまるこの絵本は、日常のなかにひそむ“注意”を、ユーモラスでシニカルに描いた五味太郎の異色作です。
注意することは生きること――
この深い洞察を出発点に、朝から夜までの一日の流れの中で、いろいろな「注意!」をひとつずつ取り上げていきます。けれど、その描かれ方はまじめでも説教くさくもありません。むしろ思わず笑ってしまう軽やかさ。情報過多・ルール過多の時代に、五味太郎は「注意って、そもそもなんだろう?」という問いを投げかけます。
ページをめくるたび、登場するのは自由で表情豊かな女の子。ときに真面目に、ときにのんびり、そしてときどきちょっと皮肉っぽく。彼女のしぐさや表情が、読む人の心の鏡のように映り込みます。絵と言葉が絶妙な呼吸で響き合い、読むたびに違う「注意」が見えてくるはずです。
本書は、五味太郎が自身の子どものために描いた作品が原点。それは、“気をつけること”があふれる現代社会で、私たちが少し肩の力を抜き、「注意」を楽しくとらえ直すための小さな提案でもあります。
明るく軽やかだけど、どこか風刺が効いている――。
それが五味太郎らしさ。子供も大人も、読むたびに笑いながら、自分の暮らしをそっと見つめ直したくなる一冊です。
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