昭和30年代の頃、まだ納豆は関西ではなじみがありませんでした。
関西で納豆といえば、ほとんどの人が「甘なっとう」を思い浮かべたものです。
初めてあのネバネバの納豆を口にしたのは小学六年の頃で、昭和40年代のはじめでした。
なんだ? この食べ物は?! 子供心ではありましたが、ぶ然としたものです。
それが今ではどうでしょう。
こんなにおいしいとまではいいませんが、食べ物としての万能力を感じるまでになりました。
納豆、イケます。
そんな納豆を絵本にしたのが、わたなべあやさんの『なっとうぼうや』。
わたなべあやさんは埼玉県出身の絵本作家で、
食べ物を主人公にしたユーモアのある作品を数多く描いている人気作家。
実はこの『なっとうぼうや』は2004年に出した単行本デビュー作で、
今回(2025年9月)その新装版として刊行されました。
キリンののったくんが朝ごはんのしたくをしていると、
納豆のパックから歌が聞こえてくる。
♪ネバネバ ネバネバ なっとうぼうや おてて つないで ネバネバよ
そして、なっとうぼうやたちが家から町へ飛び出して、大騒ぎ。
でも、なっとうぼうやたちの歌に合わせて、みんなが笑顔になるから不思議です。
単行本デビュー作が20年ぶりに新装版として刊行されるのですから、
絵本の人気もネバネバ、ネバネバ。
みんなを笑顔にしてくれる、そんな絵本です。