タイトルと絵本のスタートからは想像できない、あくの強い絵本でした。
ぬいぐるみのクマが町に出かけます。
大きさはネコと同じくらいで、人の足に倒されてしまいました。
ここからが不思議な展開です。
描いたものが本物になる魔法のエンピツをくまくんは持っているのです。
お友だちになったネコのために、くまくんは食べ物を描いてあげました。
そんなところに現れたドクロマークの男は何者なんでしょう。
ネコは車に入れられて「行きて帰らずの道」を、不気味な建物に連れ込まれました。
アウシュビッツを連想させるようなブラックさに、アンソニーが何を暗示したのか、気になりました。
施設の入り口に、描き直されたような中途半端なロープが転がっているところも気になりました。
閉じ込められていた動物たちも気になりました。
くまくんの魔法のエンピツのおかげで、話はハッピーエンドで終わるのですが、モヤモヤした気持ちが残る作品です。
逃げようとしなかったヒツジはどうなったのでしょうか。
読み終えて、改めて表紙を見て気づきました。
ショウウィンドウの中に飾られている人形の首は、どこかで見たような顔が並んでいるではありませんか。
この絵本は、風刺作品だったようです。