これは凄い!
定点撮影はよくありますが、定点描写です。
それも100年間。
対象は家。
語り手はこの家。
1656年に作られ一つの時代を家として生き、廃屋となっていたところへ、1900年に子どもたちがこの家を見つけ、家はまた命を吹き返します。
人が住んで家はやはり生き生きとするものだと思いました。
1999年この家が取り壊されるまで、この家に住む人々の悲喜こもごもを描いています。
その背景に、時代の大きな流れもうかがえます。
最終ページの新しい家の様子を見るにつけ、昔の人は、家族力を合わせ、良く働いているなあと思いました。
遠近法にとらわれぬ描写の部分は、中世を彷彿とさせます。
また前半のひとびとの生活の様子も、ブリューゲルの画風と同じ空気を感じました。
大人のための贅沢な一冊、こどもたちにとっても興味深い作品であると思います。