読み終えてからしばらくは呆然としてしまいました。
山形県の山寺に奉納されているというムカサリ絵馬を訪ねた先で、筆者が出会ったのは満州で若くして命を失った若者たちへの鎮魂でした。
戦前に満蒙開拓団として満州に渡った少年たちは、昔で言う所の家の跡取りのできない弟たちでした。
満州に活路を求めた彼らが巻き込まれたのは、戦争の残酷さと、中国人ロシア人から向けられた憎しみでした。
彼らを保護監督する立場に置かれた寮母の徳江さんは、彼らの何人もを戦士として送り出す軍国の母となり、敗戦後は日本帰還のための引率者となりました。
凄まじい勢いで展開される様々な地獄絵馬に、時には息が止まり、咀嚼できずに立ち止まりました。
その中で多くの命が失われていったのです。
花嫁をもらうことをできずに亡くなった少年たちに贈る絵馬は、徳江さんにとっては償いだったのかと思います。
戦争を忘れないために、掘り起こされて良い作品だと思います。