赤い縁取り、暖かな味わいの絵、「たいせつなきみ」という題名、
昨年、クリスマス・プレゼントの絵本を探していて、手にとりました。
エリという彫刻家が作った、木彫りの人形達は
優れた人に星のシール、劣った人には灰色の「だめじるしシール」を貼りつけ合って暮らしています。
現実の世界でも、レッテルを貼ったり、貼られたり、
人の評価で自分の価値が決まるような不安感は変わりません。
だめじるしばかりのパンチネロの絶望が、ただただ切なかったです。
だから、木のまんまのルシアの登場は、私にもまぶしいものでした。
星シールも、だめじるしシールも、
彼女にはくっつかないなんて。
その理由は、彫刻家のエリのところにありました。
エリの「シールがくっつくように していたのは おまえじしんなんだよ」という言葉が印象的。
何か特別な容姿や能力がなくても、
そのままの自分に「わたしにとってたいせつなきみ」と言ってくれる存在があれば、
人の評価など気にならなくなるのでしょう、
パンチネロ同様、少し時間はかかるかもしれませんが。
エリは、人間の作り主・神さまを象徴的に描いているのだと思いましたが、
読んだ人によって色んな読み方が出来ると思います。
希望の光が差し込むようなラストがいい!
しばし暖かな余韻に浸りました。
息子には、もう少し先がいい?と思いつつ、購入。
長いお話を真剣に聞き入り、その後も時折、読み聞かせをせがまれています。
特に感想は言わないし、私も聞きませんが、何か感じるものがあるようです。
人と人の間で、時に固くなる気持ちをほぐし、暖めてくれるような絵本、
大人の方はもちろん、小学生位〜中学生、高校生にもおすすめです。
TO・・・FROM・・・が書きこめるページもあり、
プレゼントにもぴったりです。