いかにも「昔話」という絵はあまり好みではありませんが、すばらしく鶴が美しいです。特に、真っ白の雪と、鶴の白く透き通った羽のコントラストがとてもいいです。
お殿様に織物を届け、家でむすめとおとこが話をしているページがあります。めくると、同じ構成で夜になっていて、おとこが一人心配しながら待っている。おとこの心情がよく伝わり、しんみりします。裏表紙の、夕陽に向かって飛んで行く鶴を、ただ立ち尽くして見送るおとこの長い影も、哀しみを際立たせます。
静かな哀しい物語は、これからの季節に読み聞かせるのにぴったりだと思います。落ち着いた声でゆっくり読みたいです。