恭一が月夜の晩に出会った不思議な光景、それは電信柱達の軍隊のような行進でした。大きな電信柱が等間隔で行進を続ける様は圧巻。挿絵がその様子を一層印象深くしてくれます。
電気総長はどれほどの電気を操ることができるのか、不気味な存在ですが、電信柱の秘密の行進は、誰にも見られてはいけないので、汽車の気配がしたら即終了。何とも不思議な世界です。
「ドツテテドツテテ、ドツテテド」という行進のリズムが小気味よく、お話の筋を追っているうちに、耳慣れてきます。風の又三郎でも「どっどど どどうど どどうど どどう」という擬音語が効果的ですが、宮沢賢治の真骨頂といったところでしょうか。