この絵本の中に、私の子供時代の「夏」がありました。
果てしなく続く水田、セミの声が響き渡る森、夕立に打たれる雑草たち・・・。短い文章とは対照的に、描かれた絵が物語る「夏の空気」に圧倒されます。
ストーリーは、ある夏の日に男の子がたった一人でクワガタムシを捕まえに行く、というシンプルなものです。
セミの声が鳴り響く青空の下、クワガタムシのいる谷を目指して男の子は背丈よりも長い虫取り網を持って一生懸命駆けていきます。
土を蹴り上げて走るシーン、見つけたクワガタに必死に飛びつくシーン等、躍動感あふれる絵を見ていると自分も一緒に走ってクワガタを捕まえているワクワクした気分になってきます。
著者は「ショコラちゃん」シリーズで有名なはたこうしろうさんですが、ショコラちゃんとはまた一味違った、骨太な印象のする絵本です。クワガタ捕りという男の子受けしそうなお話ですが、イラストがとっても美しいので女の子が読んでも楽しめる絵本だと思います。
娘がもう少し大きくなったら、この絵本を読みながら「ママが子供だった時は、こんな夏の一日を過ごしていたんだよ」と教えてあげたいな!