『どろぼう』という単語を聞くと、怪しげなおじさんがほっかむりで頭を覆って、地味で目立たない服を着て大きな袋をかつぎ、きょろきょろしながら人目を気にしている――というイメージを思い浮かべてしまいますが(あくまで私の偏ったイメージですね、ゴメンナサイ(笑))、こちらの絵本に出てくるどろぼうは、まったく違います。
このどろぼうは、白い髪の毛をつんつんにとがらせ、大きな灰色の目をしていて、ハンカチーフ・ドレスを着て絹の靴をはいた可愛らしい女の子の姿をしているんです。
しかも盗むのは、子供達の涙だけ。
気づかれないようにこっそり盗みだした涙は、背中にしょったザックの中で宝石になります。
そしてその涙が何のために使われるかというと…?
ここからは読んでみてのお楽しみ。
でも、想像もつかない活用法ですよ。
なんとも夢のあるお話ですが、幻想的で透明感のある絵がお話を盛り立ててくれます。
一年中で月が一番きれいに見える今の時期にぴったりの絵本です。