「あした エマちゃんの おたんじょうかいが あるの」
するとお母さんは、大きな青い目と、黄色い巻き毛、顔中そばかすだらけの女の子のお人形を作ってくれました。
「わあ、おにんぎょうさん!」
かわいい包紙に包んだお人形を両手にしっかり持って出かけたわたしは、途中でその包紙がカサカサと音を立てるのに気がつきます。そして、中から「ねえ」と声がしたかと思ったら、なんと人形が包紙から飛び出してきたのです。
異国情緒あふれる繊細なタッチの挿絵が人気の、チェコ在住の画家、でくねいくさん。『マーシャと白い鳥』(偕成社)や『もりのおとぶくろ』(のら書店)などの絵本の他、これまで数多くの児童書の挿絵を担当されてきました。こちらは29年ぶりにおはなしと絵を両方担当した作品。このおはなしは、出久根さんの子どもの頃の思い出が元になっているそうです。
包紙から飛び出したおにんぎょうさんは、突然走り出すと、公園の砂場で遊び、滑り台をすべります。あげくの果てには毛むくじゃらの犬に髪を引っ張られて……。さて、おにんぎょうさんは、無事エマちゃんにプレゼントできるのでしょうか?! おしゃまな人形に振り回されっぱなしのわたしの心の変化を、ぜひ子どもも大人も一緒に楽しんでくださいね。
(出合聡美 絵本ナビライター)
続きを読む