かわいいとのさまが繰り広げるお話シリーズ、冬編。
「ワンダーブック」1970年4月号〜1971年3月号に連載された全12話が、40年以上を経て、春夏秋冬の季節ごとに4分冊され初の単行本化。
いきいきとした当時のタッチそのままによみがえりました。
すでに春編、夏編、秋編は出版され、この冬編で完結です。
さて、冬のとのさま、いったいどんなおとぼけをやってくれるのでしょう。
お正月、城の門をぶっこわしてやってきたいのししくんを追い払ったつもりのとのさまだけど、あれれ・・・地球をぐるっと回ってもどってきた!?の「いのししくんよういどん」。
寒くてなんにもしたくないとのさま、節分の豆まきもしたくない。するとおにがやってきて、とのさまをおにのお城へつれてった・・・「ほんとうのおにごっこ」。
ひな祭りなのに女の子がいないと嘆くかわうそばあやを慰めようと、とのさまが友達をあつめて自らひな壇に座る「おおきくなったよ」。3つのお話が収載されています。
すばらしいのは「動き」の魅力にあふれたダイナミックな絵(構図、色づかい)と筋書き。
まるで眼前に絵巻物をぱーっと広げられるような、不思議な引力です。
個人的には「いのししくんよういどん」の中のまあるい絵(いのししくん地球一周)が一押し。
一枚にぎゅっとつまった異国情緒あふれる極彩色絵にときめきます。
現代の子どもたちは、どんな場面がお気に入りになるでしょうか。
子どもはもちろん、大人の絵本ファンの方も、お芝居の絵巻物をめくるような気分で「かわいいとのさま」ワールドをお楽しみくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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