「みんな、あつまってくださーい」
ごはんの時間になると、テーブルの上ではこんな声。
「おっと、みいちゃんがよんでるね」
最初にゆっくり歩きだすのは、おばあちゃんスプーン。すると、うしろからスプーンくんがびゅんっ!と追い抜き、コップくんとフォークちゃんはとっとことっとこ、おはしちゃんたちもぴょんぴょんとおばあちゃんスプーンを追い越していきます。おさらくんも揃ったところで、みいちゃんは「いただきまーす」。あれあれ?
まだゆっくりゆっくり歩いているのは、おばあちゃんスプーン。でも大丈夫。おばあちゃんスプーンの役割は、これからなのです。
「やれやれ、またせたねえ。さてと」
毎日のご飯の時間を舞台に、テーブルの上で繰り広げられる可愛らしい物語。主役はみいちゃん……と思いきや、食器たち。おばあちゃんスプーンの腰は曲がり、年季も入っているけれど、素敵なワンピースやメガネがとっても似合っているし、小さい向けの食器たちは丸みを帯びて元気でとっても愛らしく。ふくだじゅんこさんの描くキャラクターたちが、テーブルの上で生き生きと動きまわります。
こんな風にみんなに応援されたら、最後のひとくちまで残さず食べられちゃいそうですよね。ごはんの時間をもっと楽しくしてくれる絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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