「わっ いちごのケーキだ」
「はんぶんこしよう」
おいしそうな丸いケーキを、ふたりのパンダさんがはんぶんこ。
ナイフがあるから、上手にはんぶんこできますよね。
……と思ったら、いちごの数がはんぶんこじゃなかった。
「どうしよう…」
悩んだふたりは、いちごも「あーん」ではんぶんこ!
つぎはぶたさんが、大きなすいかを「ぶう ぶう、はんぶうこ しよう」ですって。
他にも、犬、ワニなどいろんな動物たちが出てきて、それぞれ大好きな食べ物を、はんぶんこします。
ところが、はんぶんこにならない場合もあって、うえーんと泣いちゃったり……?
あるある、はんぶんこって楽しいし、たくさん食べられちゃったらくやしい。
子どもにはよくわかる気持ちですよね。
作者は、絵本作家、漫画家として活躍する、多田ヒロシさん。
『おんなじおんなじ』などの「ぶうとぴょんのえほん」シリーズ、『ねずみさんのながいパン』などのロングセラー絵本が人気です。
なつかしいような愛らしさが印象的で、絵を見たら、ああ!とわかる方もいるかもしれません。
多田さんは、まだ文字が読めない小さな子にも、絵を見ただけでわかるように、起・承・(転結)の3コマ漫画形式のつもりで描いたそう。
“『はんぶんこ』を通じて、小さな子どもがクスッと笑ってくれたら、(この本を作った)私の願いが叶う”と仰います。(はさみこみ文『作者のことば』より)
わけっこするのが楽しくてうれしくて、でもときどきケンカになったり、泣いてしまったりする子どもたちにぜひ読んであげたい、ユーモラスな絵本。
クスッ、にこっ、ふふふ。いろんな笑いがじんわり沸いてきます。
ゆっくり親子で味わってくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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