「なぜ きょうも いちごのことが のっていないのだ!」
くだもの新聞を読みながら怒っているのは、いちごの王様。それもそのはず、いちごは果物ではないのです。野菜なのです。くやしがる王様に、博士が言います。
「おうさま、くだものを ほろぼして しまいましょう」
なんておそろしい計画でしょう。ところが、博士がつくったのは「いちごゆ」というおふろやさん。中に入れば、床も壁もあか、あか、まっかっか。洗い場にはいちごのシャワーにティーカップの風呂桶、おまけに椅子はプリンの形。なんて可愛らしい内装なのでしょう。さらに、お肌がぷるぷる、つやつやになる湯、ちょうど良い温度で幸せな気持ちになる大きなおふろ。これでは果物たちが喜ぶばかり、どうやって果物たちをほろぼせるというのでしょう。すると、博士が言います……。
果物をほろぼして、いちごが天下をとる。そんな野心にあふれたお話のはずなのに、この絵本はどこを切りとっても甘くて愛らしくて幸せな気持ちにあふれたシーンばかり。読んでいる方も混乱しながら、それでもやっぱりいちごの可愛いパワーに心がとろけていってしまうのです。はてさて、いったいこの作戦どうなるの!?
まだ誰も見たことのないであろう「いちごゆ」。想像もつかないこのおふろやさんと予測のつかないお話を、作者の雨宮尚子さんが丁寧に、甘く、そしてちょっぴりダークに描きだします。ああ、なんだかいい香りがしてきました。ほら、やっぱりいちごは最高。果物たちだって最高。一度でいいから訪れてみたいものですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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こんな湯は、はじめてじゃ……
いちごこそが1番と考える王さまのために、はかせは「いちごゆ」というおふろやさんを作って、くだもの達をほろぼすのはどうかと提案しました。
そうして作られた「いちごゆ」は、床も壁もまっかっか。王さまは、どうやってくだもの達をほろぼそうとしているのか、「いちごゆ」に入って確かめることにしました。
入るだけでシワが消える「ぷるぷるのゆ」や、キズがなくなる「つやつやのゆ」、あま〜いお砂糖がたっぷり入った、大きなおふろ……。
どれもあまりの気持ちよさに、うまいことばが見つかりません。
そうして、「いちごゆ」のすばらしさに感動した王さまは、考えを改めて……?
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