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えほん新定番 from 好書好日

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あけましておめでとうございます。新しい1年がはじまりました。お正月の余韻が残るうちに、和の文化を絵本で楽しんでみませんか? 朝日新聞社の本の情報サイト「好書好日」の記事よりご紹介します。
(文:好書好日編集部)

中村獅童さんの『中村獅童のおめんであそぼ とびだす!かぶきえほん』

『中村獅童のおめんであそぼ とびだす!かぶきえほん』(主婦の友社)は、歌舞伎の三大名作の一つ「義経千本桜」から「四の切(しのきり)」というキツネの親子の愛情を描いた話をもとにした絵本です。ページをめくるたびに、ストーリーに合わせてお面が次々と飛び出すしかけが施されています。絵本『あらしのよるに』の歌舞伎化やバーチャルシンガー・初音ミクさんとのコラボなど、新しいものを積極的に採り入れてきた中村獅童さん。今回初となる絵本づくりも含め、「江戸時代の傾奇者(かぶきもの)と同じ精神でやっている」と語ります。

「義経千本桜」は古典的な名作狂言と呼ばれるもので、誰が見ても「ザ・歌舞伎」なんですよね。でもその古典の言葉遣いをやわらかく崩して絵本にすることで、歌舞伎には時代を超えた普遍的なストーリーの素晴らしさがあるということを伝えたい。子どもたちや歌舞伎を知らない親御さん方に堅苦しくなく伝えることが、自分の使命だと思っています。

(中村獅童さんのインタビューより)

>中村獅童さんインタビューの全文はこちら

  • 中村獅童のおめんであそぼ とびだす!かぶきえほん

    出版社からの内容紹介

    日本の伝統芸能・歌舞伎への子どもたちのファーストコンタクトとなる絵本。人気演目「義経千本桜」をベースにしたきつねの親子の物語を、子どもが登場人物になった気分で【お面で変身】しながら、楽しく読めるしかけ絵本です。きつね・おさむらいさん・おひめさま・ゆうれい・隈取をした歌舞伎役者など、いろいろなお面がページを開くたびに立ち上がります。お面を顔にあてて、開いている穴からのぞけば、絵本のキャラクターに大変身! 表側は絵とセリフなどのワンフレーズ、裏側は物語全文と挿絵、とまるで紙芝居のように両面づかいできるつくりに。人気絵本作家・田中六大氏による作画で、歌舞伎の世界が身近でかわいく楽しいものとして描かれています。中村獅童自身が描いた隈取の「くまどりへんしんアイマスク」工作シートつき! ミシン目にそって目の穴を開け、まわりを切り取って輪ゴムをつければ、顔半分が歌舞伎役者になれるという楽しいおまけ付。

みきつきみさんの絵本『どんぶら どんぶら 七福神』

『どんぶら どんぶら 七福神』(こぐま社)は、コピーライター・みきつきみさんの絵本デビュー作。「ひとつ ひときわ えがおの 恵比寿さま」「ふたつ ふっくり ほっこり 大黒天」と、七福神の神々が数え歌になって登場します。みきさんが手がけたリズミカルな文章と、イラストレーターの故・柳原良平さんによる幸福感あふれる神様のイラストが楽しい一冊です。「七福神に聞こえるように大きな声で読んでほしい」と話す、みきさん。七福神に声が届けば、いいことがあるかもしれません。

神様が7人なので、数え歌にしたらおもしろいかなと。ずっと広告の仕事をしてきたので、サービス精神を盛り込みたいと思うところがあって、読んでいる人にいろいろ楽しんでもらえるようにと考えました。恵比寿さんから書き始めて、最初は行数もリズムも自由なので書きたいことをそのまま書けてよかったのですが、後半になったら行数が合わなくなったりして苦労しました。寿老人と福禄寿は似ているのでかき分けも難しかったですね。

(みき つきみさんのインタビューより)

>みきつきみさんのインタビューの全文はこちら

  • どんぶら どんぶら 七福神

    出版社からの内容紹介

    子どもの頃から七福神に親しみ、寿老人(じゅろうじん)の人形で遊んでいたという柳原先生に、このたび七福神の絵本を描いていただきました。コピーライターのみきつきみさんの言葉も調子よく、子どもは呪文のように覚えてしまうかも? 福々しい神さまの笑顔にこちらの頬もゆるみ、思わず周りの人にもすすめたくなってしまう絵本です。

川端誠さんの『らくごえほん』

「シンガーソングライターみたいな絵本作家を目指している」と語る、作者の川端誠さん。文も絵もデザインもすべて自分で手掛け、人前で読むところまでできるところにやりがいを感じているといいます。川端さんは『まんじゅうこわい』『じゅげむ』『めぐろのさんま』(いずれもクレヨンハウス)など、人気の落語を次々と絵本にしてきました。落語を絵本にする際は、登場人物のキャラクターやオチにつながるものをさりげなく絵で表現しているとのこと。それを発見する楽しさもある絵本シリーズです。

落語と絵本は、表現物としては一緒のところにあると思っているんです。自分で読める小説とは違って、絵本は誰かに向かって読むことが多い。読む人にタイミングや技が任されるでしょう。その人のペースによって、おもしろさが変わってくるんです。落語も、演者や観客によって、間が違ったり、観客とのやり取りが入ったりします。

(川端誠さんのインタビューより)

>川端誠さんのインタビューの全文はこちら

  • らくごえほん ごんべえだぬき

    みどころ

    童話には、言葉を話す動物なんてのがいろいろおりますが、落語にでてくるそれといえば、犬、猫、キツネにそれから、たぬき!

    たぬきというと、ふしぎな力で人を化かすと決まっておりますが、『ごんべえだぬき』の子だぬきは、ただのイタズラ好き。
    やってることは、いわゆるピンポンダッシュと変わりません。

    山里はずれに住む、ごんべえさんという人情家。
    子だぬきときたら、眠りにつこうとするごんべえさんの家の戸を叩き、「ごんべえ、ごんべえ」とやかましくさわぎます。

    たぬきのあつかいを心得ていたごんべえさん、うまくして子だぬきをとっ捕まえてやりました。
    夕飯はタヌキ汁だの、毛皮はおれがもらうだの、と村人が喜ぶものですから、子だぬきは真っ青!
    ところが、そこはごんべえさん、情けをかけて逃がしてやろうと村人をいさめます。
    しかし、二度と悪さをしないように、軽くおしおきをしよう。
    ごんべえさんがそういって取り出したのは――

    全15巻で完結した「川端誠落語絵本シリーズ」より、画風もあらたに復活した新シリーズの2作目です。

    落語「ごんべえだぬき」といえば、童話のような雰囲気のある、ファンタジックであたたかな演目。
    絵本とはとくべつ親和性が高いのではないか、と思って、ページをめくってみれば大正解!
    落語として楽しんでいたときには、どこか間が抜けていて、生意気な小僧っ子としてイメージされていた子だぬきが、絵本になって愛らしさ300パーセント増しに“化け”ています。

    また、あとがきにはこうあります。

    「落語はオチで切って落としますが、絵本には裏表紙があります。オチのオチ」

    そうして、これしかないだろう、という絵を裏表紙に描いたという作者の川端誠さん。
    なるほど、なっとくの二段オチ!
    ごんべえさんたら、人情あふれすぎでしょう!!

    落語にはじめて触れる人にはもちろん、「ごんべえだぬき」は何度も聞いたよという人にもオススメできる、絵本ならではの楽しみが詰まった一冊になっています。

川端誠さんの「らくごえほん」シリーズラインナップ

川浦良枝さんの絵本『しばわんこの和のこころ』

『しばわんこの和のこころ』(白泉社)は、かわいい柴犬と三毛猫のコンビが和の風習について楽しく教えてくれる絵本。お正月の準備や、お花見、七夕、夏の花火にお月見……と、日本ならではの四季折々の風習やおもてなしが丁寧に描かれています。「床の間って何?」「畳のヘリはどうして踏んではいけないの?」など、知っていそうで意外と知らない知識や知恵も満載です。

絵本の中で一番意識していたのは、季節の移り変わりのときに現れる、日本独特の「切なさ」や「愁い」のようなものを伝えることです。たとえば、キンモクセイの香りに触れることで季節を感じたり、子どもの頃が思い出されたりすることってあるでしょう? 日本では、嗅覚や皮膚感覚など、五感を大切に暮らしていたというところを、絵でも表したいと思いました。

(川浦良枝さんのインタビューより)

>川浦良枝さんのインタビューの全文はこちら

  • しばわんこの和のこころ

    みどころ

    「何故かしら 和にひかれる 今日この頃で ございます」
    ふすまを開けて膝をつき、つぶらな瞳でこちらを見つめてごあいさつする柴犬・・・
    もとい、しばわんこ!
    この衝撃のかわいさ、しかも和をこよなく愛しているという意外さに射抜かれてしまった絵本ファン、柴犬ファンが、日本中にどれだけいることでしょう。
    2000年、雑誌「MOE」に登場して以来、絶大な人気を誇るシリーズ。
    「しばわんこの和のこころ」は、記念すべきしばわんこデビュー作です。

    「おもてなしの第一歩は 掃除から始まります」
    あねさん被りをしたしばわんこ、せっせとお庭のはきそうじから。
    いつお客様がいらしてもいいように、外もうちもきれいにしておかなくちゃ・・・
    そうこうしているうちに、いらっしゃいませ、お待ちしておりました!
    やってきたのはお客様!じゃなくて、集金に来た新聞配達の少年のようだけど。
    せっかく来てくださったんだから、奥の和室へお通ししましょ。
    目に美しい季節の和菓子にはやっぱり緑茶、さぁ、どうぞ。
    「ありがとう」
    もてなす心と応える心が、和の空間に溶け合う瞬間です。

    専門書を読んでも小難しくハードル高く感じてしまうお作法。
    なのにしばわんことみけにゃんこが一緒だと、どこか懐かしく、温かく、恋しく感じるのはなぜでしょうか。
    イラストレーターをされていた作者川浦良枝さんは、この作品が初めての絵本。
    丁寧な豆知識や解説とともに登場する和の小物や食べものたちは、レトロなのにモダンで洒落ていて、
    古の時代から愛され続けている日本文化のデザインや色使いに、思わず胸がときめきます。
    冬から春、夏、秋と移り行く季節とともに、陽の光、草花、着物の模様や色合い、
    おはなしの中で、自然とくらしが調和した情景が移ろってゆく静かで温かな時間の流れも、心地いい。
    圧巻は各季節に描かれているラストシーン、絵本をめくりながら優しい季節の風に包まれます。

    和の心を持った柴犬に、ちょっぴりやんちゃな三毛猫。
    ゆったりと四季を味わいながら暮らす2人(?!)の周りには、
    やっぱり和が大好きで、明るくて、そしてちょっぴり大人の事情を抱えたりした仲間たちが集ってきます。
    登場人物たちが暮らしの中で織り成すストーリーからも目が離せない「しばわんこ」シリーズ、
    この後につづく続編の数々も、魅力尽きない和の世界へと、あなたを連れ出してくれますよ。

「しばわんこ」シリーズ

大西暢夫さんの絵本『和ろうそくは、つなぐ』

『和ろうそくは、つなぐ』(アリス館)は、大西暢夫さんが全国11か所の伝統産業の工房を取材して制作した写真絵本です。テーマは、昔ながらのものづくりの「つながり」。和ろうそくのもとをたどると、使い終わったものがまた次にいかされ、藍染、和紙、墨……と、さまざまな仕事につながっていきます。大西さんは「次の仕事に材料を生かしていた職人たちの意識を知ることで、『昔の人ってすごいなあ』と、古い知恵に目を向ける、きっかけになったらいい」と話します。

『和ろうそくは、つなぐ』は職人さんたちの貴重な記録です。これからますます貴重になっていくでしょう。職人が受け継いできたものが一度途絶えてしまったら、復活させることがとても難しい。つながりを消してはいけないと思います。

(大西暢夫さんのインタビューより)

>大西暢夫さんのインタビューの全文はこちら

  • 和ろうそくは、つなぐ

    みどころ

    風がなくても炎がゆれる、幻想的な灯り。ススが出にくく、周りを汚さない。しかも石油を使わず、とてもエコ! 職人の手により、西洋ろうそくとは異なる製法で作り出される「和ろうそく」。
    そんな和ろうそくがタイトルになっている本書で描かれるのは、和ろうそくの魅力……ではなく、和ろうそくを手ずから生み出す職人のワザ……でもありません。

    本書でフォーカスされているのは、日本で働くモノづくり職人たちの、壮大な仕事のつながりです。

    愛知県の和ろうそく職人からはじまり、次は蝋の原料であるハゼの実を収穫する「ちぎりこさん」を訪ねます。そして、ハゼの実から蝋を作る長崎県の蝋職人の元へ。さらに、蝋を作るときに出る「蝋カス」を引き取って、自らの仕事に活かす福岡県の藍染職人、藍染の染液を作る過程で出る木の灰を必要とする大分県の焼き物職人と、「和ろうそく」から始まった繋がりが続きます。

    「ひとつの役割を終えたものが、つぎの職人の手によって、また生き返る。
    そしてめぐりめぐって、
    ぼくたちが毎日使う器になってもどってくる」

    和ろうそくの材料である蝋、そして和紙や灯芯、真綿。それらがどんな職人たちの仕事を経て、和ろうそく職人の元に届いているのかをたどる壮大な旅は、なんと9つの県をまたぎ、12の職人へとつながります。そうしてたどり着いた場所で、著者はこの国モノづくりの源流をとらえます。

    「土を耕す人たちが、ものづくりの最初の人たちだった」
    「どの職人も、季節にそって動き、土や水や光から育った材料をいただいていた」

    『もったいない』の精神が根付くこの国で脈々と受け継がれてきた、ムダのないモノづくりの輪。
    SDGsなクールジャパンの伝統とモノづくりを、ユニークな視点からとらえたお仕事写真絵本です。

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