絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  味わい深いタッチが魅力のひらがな絵本『あいうえお』よねづゆうすけさんインタビュー

───ところで前回のインタビューでは、もうすぐお子さんが生まれるのが楽しみだとおっしゃっていましたが、その後、お子さんが生まれていかがですか?

『あいうえお』は、実はこの薄いページ紙のボードブックが国内印刷では難しかったため、海外で印刷することになりました。つまり、そのために早く絵を描きあげなくてはならなくなり、締切までの時間が短くて大変だったのですが、自分の子の発達年齢に間に合わせたいという思いもあって、がんばりました。
入園入学シーズンにあわせて出版したいため、2015年の春に出せなければ、1年後になるということだったので。


編集者さん(左奥)とよねづさん。お二人とも、102ページの『あいうえお』を子どもが持てる重量のボードブックタイプにすることにこだわりがありました。

───お子さんはおいくつなのですか?

いま2歳半の男の子です。実際、今回絵本作りをしてみて、わかったこともあります。たとえば「フランスパン」を見せて「これなーんだ?」と聞いてみると、「パン!」と答える。「フクロウ」「ミミズク」を描くと「とり!」と。
2歳半くらいだと、まだ、種類があるものや若干複雑なものはわからないんだなあ、と。だから、なるべくこの年齢くらいの子どももわかるシンプルなものを描きたいと思いました。
1歳や2歳の子が、何をどれくらい知っているのか、認識しているのか。それは子育てをしてみないとピンとこなかったかなと思います。

───ちなみに2歳の息子さんの、お気に入りの絵があったらおしえてください。

「おに」ですかね。あいうえお表を壁に貼って、「あ・い・う・え・おに」とよみあげると、まねして「あ・い・う・え・おに!」と言っていますよ(笑)。
自分の名前のページや、好きな食べ物のページはよく見ています。「いちご」はやっぱり好きですね。
「ぬいぐるみ」のページは「くま」って言ってます(笑)。


「ぬ」のぬいぐるみ!

───カバー裏面の「あいうえおひょう」はすごくいいですよね。50音だけでなく、濁音(がきぐ〜)半濁音(ぱぴぷ〜)拗音(きゃきゅきょ〜)などまで掲載されて、一目で見られる。カバーを外してびっくりしました。


カバーの裏面は「あいうえおひょう」になっていて、絵本から取り外して使えます!

濁音(がきぐ〜)半濁音(ぱぴぷ〜)拗音(きゃきゅきょ〜)などまで107掲載。


(編集者):購入後、アンケートはがきを送ってくださった方には、大きなサイズの「特製あいうえお表」をさしあげています。よかったらぜひ、出版社宛てにアンケートをお送りくださいね。

───よねづさんが息子さんとご覧になっている表は、大きいほうですか?

はい。壁に貼って、息子と遊んでいます。

───ふだんは、お子さんといっしょに絵を描いて遊んだりされますか。

描きますよ。アンパンマンが好きなので、「かいて」と言われます。色鉛筆でいっしょにお絵描きすることは多いです。やりとりやコミュニケーションがおもしろいのか、絵ができあがっていく過程がおもしろいのか……、絵を描いてもらうのは好きみたいですね。
いまは自宅が事務所なので、家で仕事をしています。仕事部屋の入り口は引き戸なので、ふだん絵を描くときは、子どもが入ってこられないようにつっかえ棒をしています(笑)。

───お子さんにしてみればきっと「おとうさんがクレヨンでおえかきしてる!」「ぼくもいっしょにかきたい!」って思うでしょうね(笑)。
あらためて、『あいうえお』をどんなふうに楽しんでほしいですか。絵本ナビ読者へ向けてメッセージをお願いします。

従来の「あいうえお」の本より、“より小さい子向け”を意識して作りました。ボードブックタイプで丈夫ですし、0・1・2歳から自由にめくれます。お勉強の本という位置づけではなく、絵本で遊びながら、子どもたちが自然に文字を覚えていくような、そんな気軽な絵本として使ってもらえたらいいなあと思います。
最初は「あ、いちごがのってる!」と喜んで、次にいちごと「い」の文字の関係に気づいて、そのうち筆順がのっていることにも気づいてくれたらいいですよね。

───本当に、年齢にあわせた楽しみ方ができますね、きっと。
きょうはありがとうございました!


記念にぱちり。

今年は『あいうえお』に加え、さらにあと2冊の絵本を出版予定のよねづゆうすけさん。 「だーれ?」シリーズ最新作、『だーれの おしり?』は7月刊行予定。『まる まる まんまる』『かく かく しかく』につづく穴あきしかけ絵本『さん さん さんかく』はこの秋に刊行予定だとか!
現在制作がすすむ2冊のラフを、ここでちょっぴりお見せしちゃいます。

「だーれ?」シリーズ最新刊『だーれの おしり?』のラフはこちら!


どうやらおしりから、しかけページをめくると動物があらわれるようですが?

変更になった動物もいます。どの動物たちが顔を出すのかな……?


海外版はすでに完成。最後のおしりはこちら。

めくると……「はーい、ぼくだよ!」手をあげて答える姿がかわいい!

さて、こちらは穴あきしかけ絵本。


『まる まる まんまる』は、穴の数がどんどん増えていくのが楽しいしかけ絵本。4つの穴は、ボタンとテントウムシでした!

『かく かく しかく』は、四角い穴の形が変わっていきます。 小さな四角が1個の氷とチョコレートに変身!


ご覧になれるでしょうか?まる・さんかく・しかくの最初のカバー案はこの3つ。

次第にラフが変化していきます。


ラフ全体像はこんな感じ!

アイディアいっぱいの絵にわくわくしちゃいますね!


最新作『さん さん さんかく』の表紙はこのとおり。秋に発売とのことで期待が募ります……。
いつもびっくりさせられる最終ページ。今回はいったいどんな三角穴なのでしょう?お楽しみに!

編集後記

いつもは海外の出版社さんと完成させたしかけ絵本を、日本でも出版する、というスタイルのよねづゆうすけさん。今回は一から日本で作るとあって、勝手が違いわからないことも多かったそうです。また、時間が限られていたため、印刷現場で色味を調整するための、色指定の紙も作られたのだとか(この色を参考にしながら、印刷所で出力調整をします)。
持参して下さったラフや小道具のどれもこれもが美しく、よねづゆうすけさんの丁寧なお仕事ぶりが光り輝くようでした。クレパスなど、ふだんづかいできる画材をどんどん使って絵を描きたい、そのために高価でないことも大事だとおっしゃるよねづゆうすけさん。地に足をつけつつ、じっくりご自身の絵の世界をはぐくんでいく姿勢……。今後もますますご活躍の予感です!


印刷所への、色指定の紙も美しいのです。


よねづゆうすけさん、素敵な笑顔!

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インタビュー:掛川晶子(絵本ナビ編集部)
文・構成:大和田佳世(絵本ナビライター)
撮影:所靖子

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よねづゆうすけ

  • 1982年東京生まれ。東海大学教養学部芸術学科デザイン学課程卒業。2005年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展への入選をきっかけに絵本作家として活動を始める。2007年に初の絵本『Bye-Bye Binky』(minedition)を出版。以後、多くの絵本を創作し世界中で翻訳されている。『のりもの つみき』『にじいろカメレオン』『たべもの だーれ?』『もぐもぐもぐ』『ぴたっ!』『まる まる まんまる』(すべて講談社)など、シンプルでユニークなしかけ絵本をつぎつぎと出版。文字の絵本『あいうえお』(講談社)では、クレヨン画を披露するなど、その柔軟な表現方法が注目されている。

作品紹介

あいうえお
あいうえおの試し読みができます!
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
まる まる まんまる
まる まる まんまるの試し読みができます!
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
かく かく しかく
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
たべもの だーれ?
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
くだもの だーれ?
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
おはな だーれ?
おはな だーれ?の試し読みができます!
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
おかし だーれ?
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
のりもの つみき
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
にじいろカメレオン
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
りんごはいくつ?
りんごはいくつ?の試し読みができます!
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
ぴたっ!
ぴたっ!の試し読みができます!
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
もぐ もぐ もぐ
もぐ もぐ もぐの試し読みができます!
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
えーん えん!
えーん えん!の試し読みができます!
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
おやすみのらちゃん
作:よねづ ゆうすけ
出版社:講談社
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