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《スペシャルコンテンツ》あそびにきてくれました!

2008.03.31

絵本「おたすけこびと」
コヨセ・ジュンジさんが絵本ナビオフィスに遊びに来てくださいました!

「こびとたちが働く車を使ってケーキをつくる」
設定を聞いただけで面白そう!と思ってしまうのがこの絵本。
男の子にも女の子にもOKなんです。

おたすけこびと

おたすけこびと
作:なかがわ ちひろ
絵:コヨセ・ジュンジ
出版社:徳間書店

ある日ママが電話をかけました。「じゃあ、おねがいね」そのあとで、キッチンへやってきたのは…ショベルカーやブルドーザー、働く車をそろえたこびとたち! バター、小麦粉、砂糖をまぜて…さあ、何ができるのかな? 車好きの子も、お菓子好きの子も、ページのすみずみまで楽しめる絵本です!

そんな絵を描かれたコヨセ・ジュンジさんってどんな方なのでしょう?
一体どんな思いつきでこんな絵本が出来上がったのでしょう?

先日、絵本ナビにコヨセ・ジュンジさんが遊びにいらして下さいました!!
早速この機会におたすけこびとについて細かく色々聞いてみましょう。

コヨセ・ジュンジさんはイラストレーターとしてご活躍されています。
この絵本が初めての絵本作品だそうで・・・。

■ この絵本が生まれたきっかけは・・・

のんのんさん 絵本ナビでも人気の絵本作家なかがわちひろさん。
ある時、彼女からこんなテーマが・・・
「こびとがミニカーでケーキをつくる。」
受け取ったコヨセさん、「これは面白そうだ!」とピンときたそうです。
そこから「おたすけこびと」完成までの長い道のりが始まります。

この設定をもとに、世界を広げていくのはコヨセさんの担当。
アイデアやラフを沢山描かれて、試行錯誤されて・・・
最終的に絵本が出版されるまで何と4年(!)の年月が。こだわりの1冊なのですね。
テーマを出したなかがわさんからも、「ケーキのつくり方」「こびとに顔をつけること」この2点には特別にこだわります!という要望もあったそうです。
このやりとりも、読者としては想像するだけでワクワクしてきますね。

絵本を見ながら、制作当時を振り返ってお話して下さったコヨセさん。

■ なんといっても、この絵本の魅力は働くくるま!

表紙の絵にも出ていますが、(私の息子も含めて)働く車が大好きな子ども達にとっては、勢揃いしたその勇姿に、もう目が釘付けです。
特に、「食べ物」との意外な組み合わせにも違和感なく溶け込んでいる適材適所な働きっぷり。
さぞや、御本人も車が好きなのでは・・・と思いきや?

おたすけこびと

「そういう訳ではないんです。ただ、以前オートバイをたくさん描くイラストの仕事があり、なかなか苦心して描いているうちに、そのごちゃごちゃ線がいっぱいある感じが面白くなってきたんです。今回働く車の話が来たときも、線が多ければ大丈夫だな、と。」

働く車は、自動車などの流線型な姿に比べて「無骨」な感じがします。
その感じが、描く対象として興味を惹かれるそうで、もしかしたらその視点は、子ども達ととても近いのかもしれませんね。

おたすけこびと

更に、食べ物とそれぞれの車両との組み合わせが絶妙だと思うのですが、こちらもすごく悩まれた・・・とのこと。
私自身、息子から指摘されて始めて気が付いたのですが、ショベルカーの先に器具がついていて、ケーキの材料をミキサーの様にかき混ぜるシーン。
「こんなの見たことない!」
これは、コヨセさんが考案されたそうです。その材料を型に流し込むポンプもしかり。
その他にも、卵を割る場面や、あまり見たことのない見張り台、クレーン車の大活躍など、子ども達はしっかり見ています。とっても嬉しそうでしたよ。

そんな風に、よく観察しているとわかるのですが、数ある働く車でも、街中であまり見ることのない珍しい車両がたくさん混ざっています。
コヨセさんはその姿を見る為に、飛行場や消防署に出向いたり、車両を上から見た写真というのが殆どない為に、実際に高い所から眺められる工事現場を探しに行かれたり・・・。
実は、かなり厳密な取材に基づいた絵なのですね。
でも、そんな苦労を感じさせない(むしろ楽しそう?)、ものものしさも感じない、愛嬌すら感じてしまう車両たち。
そこが、コヨセさんの絵の不思議な魅力なのかもしれません。

■ そして、忘れてならないこの絵本の主役といえば・・・

とっても働き者のこびとたち。
前半のテキパキとした働きぶりに見とれていると、休憩時間にヘルメットを取った彼らの姿にちょっと驚きます。
みんな可愛い子ども達なのです!(意外と個性的な髪型にもびっくりしますが。)

コヨセさん曰く、こびと達にとってのこのお仕事は、幼稚園、保育園でいう「ごっこ遊び」の延長の様なイメージで描かれているそうです。
なるほど!言われてみると、色々な姿が見えてきます。
何だか無意味に手を振っている子もいるし、転んじゃっている子もいるし・・・。
各ページに必ず出てくる子もいれば、1場面しか出てこない子もいたりして。

ここは、コヨセさん自身も遊んで描いている部分。
描きながら、子ども達に向けた直接的なメッセージでもあるんですね。
(見つけてくれるかな・・・なんて。こびとの服の色使いにもポイントがあるそうですよ。)

コヨセ・ジュンジさん コヨセ・ジュンジさん

裏表紙の見開きのページ(後ろ見返し)はとってもわかりやすく、みんなで園庭で遊んでいる様な雰囲気がよく描かれています。
コヨセさんから、「地面に大きく絵を描いている子がいるんですよ。何の絵を描いているか気がついた?」との質問。き、気がつきませんでした・・・。
よーく見てみると、いました!地面に大きなさかなの絵を描いている子が。
更によく見ると、テーブルでお絵かきをしている子達の中に、1枚の紙からはみ出しているさかなの絵。
紙が小さすぎたので、地面に大きく描いているのだそうです。

他にも聞けば聞くほど、色々な秘密が解き明かされていく感じ。
 子ども達なら、既に見つけちゃってるかもしれませんけどね。

■ さらに、忘れてならないもう一つのこだわり!

もう1つ、大事なキーワードがあります。
そう、なかがわちひろさんも1番こだわったというケーキですよね。
クリームとイチゴの組み合わせに目がない我が息子も大満足のそれは美味しそうな誕生日ケーキ。ラフが出来上がった時点で、コヨセさんのもとに、「実際に作ってみてくださいね!」
オリジナルレシピと共になかがわさんの指令(笑)が届いたそうです。
そこでコヨセさん、何と編集部の方々とともに徳間書店の社内(!)で作られたそうですよ。

誕生日ケーキ その時のケーキを手にしたコヨセさん。絵本のプロフィール写真として掲載されていますよ。

充分美味しそうなのですが・・・まだまだ全然、とのこと。確かに、こちらもやはり絵本に載っている
なかがわさんのプロフィール写真の手には、更に美味しそうなケーキが!ボリュームが・・・。
(なかがわさんが作られたケーキとの、この歴然たる違いは是非、直接見て確かめてくださいね。絵本そっくり。)

そんなこんなで、(コヨセさんの苦労も含めて)出来上がった立派な誕生日ケーキを、あたかも、自分でつくったようにすまし顔で運ぶお母さんがとってもチャーミング。
親近感が湧きます(笑)。

■ 出来上がってみていかがですか?

発案から4年間。ずっとやりたかった絵本の仕事・・・という事もあり、全力投球だったとおっしゃるコヨセさん。
出来上がった後の事は、考えてもみなかったそうです。
だから今、反響の大きさにびっくり。
(絵本ナビのレビューも読んでくださっているそうですよ!)
出来上がってから、読者の反応を改めて楽しめる・・・というのは絵本作家の醍醐味なのかもしれませんね。

今までのお話からも分かる通り、読者の間でも、これからまだまだこの絵本の面白さを発見していくでしょう。これはロングセラーの予感がしますね。

■ 今後シリーズ化というのは・・・?

ご本人は、あまり意識はされていないようですが、まわりからの期待は大きい様子。
今度はどんな組み合わせが面白いかなぁ・・・なんて、私達は、楽しみに想像しながら待つばかりですね。

一つ一つの質問に、とても丁寧に答えて下さったコヨセさん。
名入れサイン本企画のお願いも、快く引き受けて下さいました。

早速、見本として1冊サインを描いて頂きました!
まるで、絵本の続きのように小さなこびとの絵も一緒に。

コヨセ・ジュンジさん コヨセ・ジュンジさん コヨセ・ジュンジさん
これは宝物になります。プレゼントにも喜ばれそう!

コヨセ・ジュンジさん 最後に記念撮影をパチリ。
また、次回作も楽しみに待っています。
ありがとうございました。

さて、家に帰ったら、早速息子と「おたすけこびと」を読み直さなきゃ!

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コヨセ・ジュンジ【コヨセ・ジュンジ】

  • 1949年生まれ。福岡県出身。セツ・モードセミナー卒。雑誌「アン・アン」「セサミ」「BMWバイクス」などでイラストレーションを描く一方、単行本の装丁や表紙画を手がけ、児童書の仕事に『家出の日』(徳間書店)の挿絵がある。「おたすけこびと」が初の絵本作品。


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