いろんなお菓子がいっぱい、というのが好きです。
子どもの頃、おやつの紙袋をもらうと目はキラキラ胸が踊りました。やぶるように開けると、あげせんべい一枚、飴玉二つ、チョコレートがひとかけら。どれから食べようって、迷ったこと、思い出してもわくわくします。
いろんな色がいっぱい、というのが好きです。
12色の色えんぴつや24色のクレヨンを、机の上にばらまくと、時を忘れます。これはお日さま色、これは野原色……。そっと見ていると、わたしだけの風景が、どこまでも広がってゆくのです。
いろんな面がいっぱい、という人が好きです。
わたしは、いもとさんを、ひそかに――絵筆を持ったおもちゃ箱――と、呼んでいます。
ある時は、飛んだり跳ねたり元気なねこを描き、ある時は、悲しみをこらえる母を描いて、生きてゆく寂しさと喜びを教えてくれます。
すてきなおもちゃでいっぱいの、おもちゃ箱のように、心にいくつも表情をもつ人、いいなって思います。
いろんな童話がいっぱい、という本が好きです。
そんな本を作りたいと夢見てきました。その願いを聞いて、絵筆を持ったおもちゃ箱が、にっこり笑って、ひっくり返ってくれました。
いろんなおもちゃが飛び出した、この絵童話集。楽しんでいただけたら、とても幸せです。
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