昔、家出をしたことがあります。
といっても、中学校の友達に家に逃げ込んだだけですから、
家出というほどもこともありませんが。
原因は、親から嫌なことを強要されたことでしたが。
浜田桂子さんの『いえでします!』という絵本を見つけた時に、
そんな半世紀以上昔のことを思い出しました。
表紙の男の子は家出のためにバックいっぱいにおもちゃとか詰めていますが、
私の場合は何も持ちませんでした。
まあ、友達の家に行っただけと言われたら、それまでですが。
絵本の中の子どもたちの家出も、なんだかそんな他愛もないもの。
お兄ちゃんと同じ部屋がいやだ、というのが家出したい理由。
では、どんな部屋はいいのかと聞かれて、思い浮かべた理想の部屋の姿。
自分だけのベッドがあって、自分だけのテレビがあって、自分だけの冷蔵庫もあって。
と、友達のひとりが、自分ならこんな部屋がいいと話し出す。
さらに、別の友達も、自分の夢の部屋はこうだと言い出して。
子供たちの個性が部屋の表情を変えるのが面白い。
それで、いつの間にか家出の話はどこかにいってしまって。
理想の家なら家出をしなくてもいいのですが、
そんなに甘いはずもありません。
でも、夢ならいくらでも語れるはず。それも楽しい。
少なくとも、家出よりは。