お互いを思いやる心が人と人を繋いでいく
絵本出版賞 最優秀賞受賞作
はるかは、小学三年生の春休みに引越しをして、バス通学をはじめました。
そんなある朝、お母さんはテレビのニュースを見ていいました。
「知らない人には気をつけるのよ。はるかと同じ四年生の子がゆくえふめいだって」
その大きなため息と心配そうな顔を思い出し、はるかはきんちょうしました。
人の顔をなるべく見ないようにしながらバスに乗り
バスの手すりぼうにつかまって窓のけしきを見ていると、
目の前の席にすわっていた中学生くらいの男の子が
運転手さんのまねをしてアナウンスをはじめました。
「次はつりかえばし、つりかえばし、おおりの方は近くのブザーをおしてください」
まわりのひとたちはみんな、男の子をあたたかい目で見守っています。
数日後、男の子はおばあちゃんと二人がけの席に座っていました。
はるかがいつものように手すりぼうにつかまって窓の向こうを見ていると、
バスの急ブレーキで男の子が大事ににぎっていた袋をおとしてしまいました。
すると、いろいろな色のビー玉がはじけ、ころころところがりはじめました。
毎朝乗るバスの中で、はるかが障害を持つ男の子と出会い、
乗り合わせる人たちと心を通わせていく物語。
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