おならは、えらい。
おならは、出てきたときにきちんとあいさつする。
こんな風に考えたこと、ありますか?
この世のありとあらゆるものに、あたたかなまなざしを向け、優しい言葉で大切なことをつづってきた詩人まど・みちおさんのユーモアあふれる詩「おならはえらい」。約80文字で表現されたこの短い詩が、迫力いっぱいの絵本になりました。
絵を手がけられたのは、まどさんの同郷、山口県在住の絵本作家岡本よしろうさん。はじまりは、思いもよらない場面から。画面いっぱいに猫のおしりが描かれ、そこから見事(?)なおならが放たれます。この瞬間までに3見開き。流れているのは、言葉にならないほど大らかな時間。同じ空間には、まどさんらしきおじいさんが散歩しています。
そこから読者の視点は、絵本とともに大きく揺らぎ、広がっていきます。猫がいた屋根の上から、小さなありの群れが活動する地面へ、そして町が見渡せる上空へ、さらに宇宙にまで飛んでいきます。ここでもやはり、おならはあいさつをしているのでしょうか。それはどんな響きで、どんな匂いがしているのでしょう。わかっているのは、世界中の誰にでもわかる言葉だということ。ここかしこに存在しているかもしれないおならを思い、思わず吹き出し、そしてつぶやきたくなってしまいます。
「おならは えらい」
目を向ければ、そこにあるもの全てに大切な命が存在している。画面のすみずみまで丁寧に愛情を持って描かれた絵本を読みながら、まどさんからのメッセージがじんわりと伝わってきます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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