穴に落ちた、子ゾウのジャンボを助けたあんぱんまん。空を飛び安全なところまで連れて来ると、自分の顔(ほっぺたのところ)をちぎって「たべて げんきを ださなくちゃ。さあ、これを おあがり」とジャンボに差し出します。
子ゾウのジャンボが食べてみると、そのほっぺが落ちるほどおいしいことといったら。だってあんぱんまんのほっぺたですからね。ジャンボはおかわりして、あんぱんまんの顔は半分に……。力が弱くなったあんぱんまんを背中に乗せて、ジャンボは今夜の寝床をもとめ森に向かいます。
そこへふいにあらわれたのが、おばけごりらの、ごりらまん! 怪物のようなごりらまんはふたりを食べようとしますが……!?
やなせたかしさんが描く、初期のアンパンマン絵本。アンパンマンの原点となる作品のひとつです。泣いている人がいると飛んできて自分の顔を食べさせる、正義のヒーロー、アンパンマン。顔がなくなったらパン屋のおじさんにまた顔を作ってもらいます。そして本書のように、たとえ自分たちを襲った者でも、お腹がへったら自分の顔を食べさせてあげるのですね。
ところで、わが家の5歳の息子と本書を読むと、ごりらまんがころころ転げ落ちるシーンに大笑い。大きなごりらまんが転ぶ姿、何度見ても笑ってしまうみたいです。ちょっぴり情けない姿に親しみを感じたり、顔がなくなってもよろよろしながら飛んでいけるあんぱんまんを、不思議に思ったり。きっとアニメでは出会えない“元祖アンパンマン”に出会えるはず!
こうした初期のアンパンマン絵本は「やなせたかしのあんぱんまん1973シリーズ」として今後も刊行予定です。どうぞお楽しみに!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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『あんぱんまんとごりらまん』
穴に落ちた子象のジャンボを助け、顔をあげたあんぱんまん。ジャンボをお母さんのところへ連れていく途中で、力が出なくなってしまいます。そこへ、森の中から恐ろしいごりらまんが現れ、襲いかかってきます…!
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アンパンマンが初めて絵本で登場したのは1973年、月刊「キンダーおはなしえほん」10月号でした。
その後、多くの絵本が生まれ、世界を広げていきます。
絵本『あんぱんまん』誕生50周年を記念し、未来に向けて長く読み続けていただけるよう、アンパンマンの原点となる絵本たちが新しくよみがえります。
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