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快適な室温,花の香りをふくんだ新鮮な空気。生活全般を取り仕切る〈手〉と呼ばれる装置…。申し分のない生活にひそむ驚きの結末。

『星新一YAセレクション3』(理論社)。
表題作である「ゆきとどいた生活」をはじめとして、15篇の「ショートショート」が収められた、YAすなわちヤングアダルト向けの児童書。
ちなみに、「ヤングアダルト」は子供と大人の間の世代を指す言葉で、13歳頃から19歳頃までの若者のことをいいます。
装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
お笑いのひとつのジャンルとして、「コント」という言葉をよく耳にします。
寸劇風の演芸のことを指しているようで、漫才とは違った可笑しみがあります。
この巻に収録されている「流行の鞄」を読んで、「コント」のことを思い出しました。それほど、面白い一篇でした。
内容は、まず二人の男が出てきて、同じ「流行の鞄」を持っていたせいで、どちらの男のものかわかりません。開ければいいのですが、互いに見せたくないものがはいっています。二人がもめていると、別の男がやってきて、また同じ鞄が混ざり込んでしまいます。この男も中身は見せたくない。だから、どれが自分の鞄かわからない。さらにもう一人も。この男たちがみんな犯罪にからんでいて、そこに刑事がやってきて・・・。
同じ鞄をあいだにして、男たちのやりとりや焦りが面白い。
きっと実際の寸劇にしたら面白いはず。
その他にも、つけぼくろで自分の人生が変わる「顔のうえの軌道」やオチが面白い「悪をのろおう」、風変りなペットを飼う男を描いた「水音」など、この巻も楽しい。 (夏の雨さん 70代以上・パパ )
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