季節に合ったお話とともに、その月の行事の背景などのまめちしきが学べる新しい童話シリーズ「おはなし12か月」が今年刊行されました。4月のはやみねかおるさん(テーマは新学期)、5月の斉藤洋さん(テーマはこいのぼり)に続く6月は、森絵都さんで雨をテーマにした童話です。さて、どんなお話なのでしょう?
クマのマーくんは、雨がふると、こまったなあ、と思います。なぜなら、しとしと、しとしと、大地をぬらす雨の音が、マーくんの耳には「しくしく、しくしく」と泣いているように聞こえて落ち着かないから。とくに6月は梅雨なので雨が続いてホッとできる時がないのです。
「ないているのは、だれですか。かなしいのは、だれですか」
マーくんは気になって、森の中へ泣き声の主を探しに行くことにします。さて、マーくんが出会った泣き声の主はだれだったのでしょうか?マーくんは、泣いているだれかと出会うたびに、自分ができる精一杯を相手にしてあげます。時には失敗しながらも一生懸命なマーくんに助けられて泣き声の主たちにもだんだん変化が…。そして、一番最後に出会ったのは、泣くことがあるなんてマーくんも読者もちょっとびっくり!してしまうような相手。いったいどんな理由で泣いていたのでしょうか?
この「おはなし12か月」、7月は石井睦美さん、8月は令丈ヒロこさん、9月は蜂飼耳さん…と3月まで豪華な作家陣の顔ぶれが続きます。さらに、すべてのページに人気画家さんによる楽しいイラストがつき、漢字にもすべてふりがながついているので、小学校低学年でも無理なく読みとおせるシリーズです。誰のどんなお話が届くのか、毎月の楽しみになりそうですね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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毎月読みたい、季節にぴったりの童話たち──シリーズ「おはなし12か月」
現代を代表する一流童話作家の書きおろし。
物語の楽しさを味わいながら、日本の豊かな季節感にふれることができます。
上質なイラストもたっぷり。低学年から、ひとりで読めます。
巻末の「まめちしき」で、行事の背景についての知識が高まります。
6月の巻は森絵都さんの「雨」の童話。
つゆの日々、雨がふるたびに「しとしと」が「しくしく」に聞こえ、だれかがどこかで泣いている気がしてじっとしていられないくまのマーくん。
雨の中をさんぽし、泣いているあじさいやかたつむり、人間の女の子をはげましてまわります。そのはげましかたがどこか抜けていて、いつもへんてこな結末に。
それでも本人は大まじめ、雨がふるたびに大いそがしなのです。
しかし、マーくんのがんばりで、みんながどんどん笑顔になっても、なかなか「しくしく」の音はやみません。
いったい、だれが泣いているの?
あいすべきくま、マーくんと雨とおともだちのおはなし。
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