「雁の童子」 みんなの声

雁が遺した童が、前世では拾い育てた親の、本当の子どもだったという、転生輪廻の物語です。宗教的な色合いの濃さと、不思議さを凝縮したようなお話なので、難解な物語ではあります。
須利耶の従弟が銃で撃った雁は何だったのでしょう。
一人残った童子との関わりを考えつつ、因果応報とが、成仏とか、死の先に思い至る様々なことを考えてしまいました。

絵本にはなっていますが、子どもの本じゃないですね。賢治好きな大人が、深夜雪の降る中を思い出したように本箱から取り出して、ほうっとため息をつきながら読むのが一番似合っている感じがします。
雁の群れの一団がいて、それらが鉄砲で撃たれて、火をあげながら落ちていくのです。そしてそれらのものは空を飛ぶ人の姿にかわっていたのです。一羽だけ残った雁が子供の姿となり、その地で暮らすのです。
物語全体としては静で、動が好きな子供には難解と退屈であまり読みたがらないと思います。大人にはわりと受けるのじゃないかなとおもいます。