柿を食すのに、かたいのが好きな人。柔らかいのが好きな人。
それぞれあると思いますが、
私は、かたいのも好きだし、柔らかいのも好きな人。
特に、種のまわりにあるグニュッとしたところが美味しい。
それなのに・・・
最近は、種無しの柿が多く出回って、残念でならない。
このお話は、その柿の種をめぐる争い。
かにとさるが、おにぎりと柿の種を交換するところから始まります。
ずる賢いさるは、かにに柿の木を育てさせて、
柿の実がざらんざらんと生ると、
さるは横取りし、さらに、かにに青い実を投げつけて、
死なせてしまいます。
産まれて来たこがにたちは、
くまんばちやつぶっくり(栗)たちと共に、
さるを退治しに行きます。
文章が松谷みよ子さんだけあって、
とてもリズミカルで読み聞かせしやすい。
絵は、長谷川義史さん。
母がにが死んでしまうシーンでは、
青い柿が強調された迫力のある絵と、
こがにたちがづくづく生まれてくるのがとても印象的。
うしのくそやうすも、力強くて頼もしい。
後半のさるを退治するくだりは、
躍動感ある絵が、とてもお話を盛り上げてくれています。
リズムがよくてスピード感があり、
新たな魅力のある昔話となっています。
この絵本での最後の終わり方は、
「やねから うすが おちてきて
さるは のびてしまったと。 おしまい。 しゃんしゃん。」
となっています。
友だちの年長さんのお子さんに読み聞かせしたところ、
この最後の終わり方が、さるが死んでしまったのか、
さるは謝ったのか・・・
聞き手に想像させるところがいいという感想をもらいました。
松谷みよ子さんも長谷川義史さんも好きなので、
手元に置いておきたい一冊です。