とっても大きい山男、八郎のお話。
すでに大きい体なのに、もっともっと大きくなりたくて仕方がなかった八郎。
後半、八郎自身がいつも思っていた、「どうして自分が今まで大きくなりたかったか」
という疑問に自らの答えを出すのですが、そのシーンは本当に壮絶な、
頼もしくも悲しい、複雑な思いに駆られました。
なぜ八郎でなければならなかったのでしょう?
けれど、きっと八郎にしかできなかったこと。
それが、これだったのでしょう。
自己犠牲。優しさ。そして八郎から感じる、大きな悠久の愛。
たくさんの小鳥たちが、八郎の頭(髪の毛)に巣を作って住んでいる
のですが、「ぴちぴち、ちいちい、ちゅくちゅく、かっこー」という
鳴き声が何度も出てきて、同じ鳴き声のはずなのに、シーンによって
嬉しそうに聞こえたり、悲しそうに聞こえたり・・・
「八郎」よりも先に「三コ」を読んでいたこともあり、もしかして、
あの男わらしこは、三コのこと!?と、息子と二人で大騒ぎしてしまいました。
三コが八郎を尊敬して真似たということを考えると、きっとそうですよね?
ここのところ、斎藤隆介さんの作品をたくさん読んでいますが、
絵本離れしていた息子が、斎藤隆介さんの作品をきっかけにまた
少しずつ絵本を手に取るようになり、嬉しく思っています。
良い作品というものは、今も昔も人を惹き付けるのでしょうね。
いろんな意味で、心に残る作品となりました。