「したたるほどの緑におぼれそうだった。」
こんな書き出しで始まります。
最初から最後まで どのページにも
緑の絵の具がたくさん使われているのが印象的です。
お話の舞台は ほとんど手つかずの山の中。
ここに降りそそぐ光は
みんな木々の葉に反射して落ちてきていることを
意識させられる感じでした。
そしておじいさんの
「山の中のものにはむだがない」という食物連鎖を教える言葉は
読み終える頃になると
「人の命についても無駄なものはないのだ」という
立松さんからのメッセージが込められているようにも感じました。
今は 息子と孫の区別もつかないおじいちゃんですが
息子や孫へとしっかり命をつなぎ
イタチでする漁のやり方だって
夏が終わる頃にはきっと 
静一へとしっかり受け継がれていると想像させられるラストでした。