小学校2年生の時に、地方の島に引っ越した少年が、自閉症の子どもと、クラスメート、学校の先生や保護者などと共に暮らす様子を描いた作品。
2014年刊行。自閉症の息子をもつ母親や、同級生が自閉症だった人など、当事者と関係者たちの経験談を丁寧に取材した様子が巻末資料に書かれている。
本書は、障がい者理解などのテーマが、表紙からは感じられない。話を読んでいるうちに、自然と自閉症の人と、周囲の人の関わり方を知っていく。
実に自然に、障がい者が周囲に溶け込んでいる様子が印象的だ。小さいころから、自閉症の「やっくん」がいる環境で育ち、先入観もないので、「やっくん」との接し方がみんなわかっている。やっくんは、特別クラスに分けられていることもなく、みんなと一緒に遊んだり、勉強したりしていて、学校を卒業して、就職もできている。
普通の風景の一部になっているところが、よいと思った。
巻末資料に書いてあった「人は知らないことは怖いと避けるので、とにかく出会いふれあって、知ってもらうことが一番」(特に子どもの時に)
という言葉通りだと思った。
慣れてしまえば、自分と違うことを受け入れたり、うまくやっていくことができるようになると思いました。